[title]
銀座、丸の内など都内を舞台にした大規模建築イベント「東京建築祭」が、2024年5月25日(土)と26日(日)に開催する。同イベントは、「東京建築祭実行委員会」が主催し、日本橋・京橋、丸の内・大手町・有楽町・銀座・築地などを舞台に多彩な建築の魅力に光を当て、普段は見られない場所を公開。18件の建築が無料で特別公開されるほか、有料のガイドツアーを実施(ガイドツアーは全て申し込み終了)。さらに、「丸善ジュンク堂書店」「銀座 蔦屋書店」でブックフェアなども行われる。
特別公開される建築は、「東京ステーションホテル」「新東京ビルヂング」「国際ビルヂング」「堀ビル」「明治生命館(丸の内 MY PLAZA)」「日証館」「三井本館」「三越劇場」「江戸屋」「丸石ビルディング」「旧宮脇ビル」「井筒屋」「カトリック築地教会」「SHUTL(中銀カプセルタワー カプセル再活用)」「築地本願寺」「安井建築設計事務所 東京事務所」「岡田ビル」「神田ポートビル」。全て無料・予約不要で観覧することができる。
同特別公開に先がけて、5月20日に、建築家の藤本壮介とJINSの代表取締役CEOを務める田中仁らをゲストに迎え、同祭実行委員長、建築史家である倉方俊輔がナビゲーターを務めるキックオフイベントが三越劇場で行われた。クラウドファンディングの出資者、協賛企業、ボランティアスタッフや公開建築の関係者らに向けたイベントだ。
会場となった三越劇場は、1927年(昭和2年)に世界でも類を見ない百貨店の中の劇場として誕生。華麗な装飾に包まれた場内空間は、2016年(平成28年)に日本橋三越本店本館が国の重要文化財指定を受けるに当たって高く評価されたという。定期的に三越劇場スタッフによる解説付きの見学会が行われているほど高い価値と魅力を誇る場である。
登壇のトップバッターは、三越劇場の副支配人である齊木由多加が登場。三越はおろか、銀座のシンボルともいえる「ライオン像」と対になるかのように舞台を取り囲む額縁の左右に装飾された翼が生えたメスのライオン像や、場内に隠された隠し絵など、劇場が持つ建築的な価値や、見逃してしまいそうな意匠・装飾を紹介した。
藤本は、フランス・モンペリエの集合住宅「L’Arbre blanc(白い木)」、ハンガリー・ブダペストの「音楽の家」、福岡の「太宰天満宮仮殿」、前橋の「白井屋ホテル」、そして2025年に開催される大阪・関西万博の大屋根リングなど、自身が手がけた建築のストーリーや土地が持つポテンシャル、ビジョンなどをつぶさに紹介。自然豊かな北海道から上京した時に感じた「東京は人工物でできた雑木林のような場所」という感覚や、そこからひもづく「自然物と人口物はどう共存・融合・対比されるのか」という藤本建築のテーマともいえる思いなどを語った。
その後、前橋の白井屋ホテルのプロジェクトを手がけ、藤本に建築を依頼した田中を交えて、倉方とともにトークセッションが行われた。良い建築は設計・建築家だけではなく良い施主の存在が欠かせない。そこに思いと営みがあれば建築家との豊かな関係性が生まれるといったことや、建築文化とはその時々に新しいものへ挑戦した歴史である。といったことを語りあった。
そのモデルケースとして、藤本をはじめ、さまざまな注目の建築家による多様な文化施設やレストラン、カフェなどが誕生し、世界から注目を浴びている前橋のまちづくりの取り組みが紹介された。
「建築という『もの』だけではなく、その状態や使っている人と出逢うのが面白い。建築から、人を感じ、街を知ることができるイベントです」と倉方は同イベントの魅力を語る。参加すれば、美しい意匠や装飾を楽しむだけでなく、東京という土地が元々持ってる個性とエキサイティングに移り変わっていく東京が建築から見えてくることだろう。
通常非公開の貴賓室や講堂、本堂裏の廊下が特別公開される築地本願寺をはじめ、堀ビルでは日に数回だけ人数限定で上階に案内してくれるなど今回ならではの試みも多い。登録や予約などの手続きは一切不要なので、建築好きのみならず、街歩きがてらぜひ参加してみてほしい。
関連記事
『東京建築祭』
『無料特別公開16件、「東京建築祭」のプログラム&参加建築が発表』
『奥多摩の沿線まるごとホテル「Satologue」のレストランとサウナがオープン』
東京の最新情報をタイムアウト東京のメールマガジンでチェックしよう。登録はこちら