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東京、12月に開催されるジャズイベント4選

最高峰の現代ジャズヴォーカリストや若手新鋭によるスペシャルカルテットなど

テキスト:
Naoya Koike
Writer
GRETCHEN PARLATO "Holiday Songbook"
画像提供:ブルーノート東京
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そろそろ本格的に年末ムードがただよう2024年12月。今年の最後を締めくくる音楽は、躍動感あふれる豪華なジャズミュージックが良いかもしれない。

「ブルーノート東京」で行われる、最高峰の現代ジャズヴォーカリストによるパフォーマンスを特別なディナーとともに楽しめる「GRETCHEN PARLATO "Holiday Songbook"」や、令和のジャズドラムシーンを導く新鋭による「そるとでジャズ・ライヴ 中村海斗 QUARTET」など、足を運ぶべきイベントがめじろ押し。音楽の熱気で、今年最後を走り抜けよう。

Mark de Clive Lowe Live in Tokyo

Mark de Clive-Lowe Live in Tokyo
画像提供:ノールームフォースクエアーズ

ニュージーランド人の父と日本人の母を持つマーク・ド・クライヴロウ(Mark De Clive-Lowe)。ニュージーランドからロンドン、ロサンゼルスと活動拠点を転々とし、ジャズからビート的なアプローチまで、さまざまな音楽を奏でるミュージシャンだ。ルーツである「日本」をテーマにした、和の要素の音階やメロディーを用いたアルバム『Heritage I & II』では、『武士道』という楽曲もある。

約1時間のセットが3回行われる本公演は、ユニークな活動でジャズを表現するマークを至近距離で味わえるチャンス。最初の回はソロで、ピアノとシンセサイザー、DAWソフト「Ableton Live」などを使ったファンキーなパフォーマンスか、はたまたピアノのソロなのかもしれない。

2セット目はロサンゼルスからベーシストのバビー・ルイス(Bubby Lewis)、3セット目にはテナーサックスの馬場智章とのデュオ編成と続く。各セットでサウンドが変わるため、狙いを定めて予約するのが吉。

それにしても、どうして下北沢の片隅で、プレミアムな外国人プレーヤーのギグを企画できるのだろう。店主に尋ねたところ、「ノリで決まりました」とのこと。3セット分のチケットを全て購入すると1,500円引きになるので、ぜひチェックしてほしい。

※22日/1stセット 18時〜18時50分、2ndセット 19時30分〜20時30分、3rdセット 21時30分〜22時30分/ノールームフォースクエアーズ/料金は1セット3,500円

女性ジャズプレーヤーが多く台頭する昨今、聞かれなくなった「女子ジャズ」という言葉。この語感の是非は置いておくとして、その先駆けとなったのが、サックス奏者の矢野沙織であることは間違いない。

演奏スタイルは、ジャズがその名にモダンを冠するようになった1940年代の「ビーバップ」がルーツ。平成的な視点でいえばニュース番組「報道ステーション」のテーマソング『Open Mind』が有名ではないだろうか。現在はファンクやR&B的をミックスさせたプロジェクト『YANO SAORI HOUSE OF JAXX』など、現代ジャズ的なアプローチにも取り組んでいる。

14歳の時に初めて演奏したのが、本公演の舞台である西新井の「カフェ クレール」。ビリー・ホリデイ(Billie Holiday)の伝記に影響を受けた彼女が無謀にもあちこちのジャズクラブに交渉した結果、ブッキングできたという思い出の店である。ホームならではの落ち着いた雰囲気で、彼女のソウルフルなブロウを堪能してほしい。

※22日/1st 17時40分〜18時40分、2nd 19~20時/カフェ クレール/料金は5,500円

GRETCHEN PARLATO "Holiday Songbook"

GRETCHEN PARLATO "Holiday Songbook"
画像提供:ブルーノート東京

12月25日(水)〜27日(金)、ジャズボーカリストのグレッチェン・パーラト(Gretchen Parlato)によるライブが「ブルーノート東京」で開催される。

2000年代に入ってからジャズとヒップホップの関係が強まり、最も密接だったのが、ピアニストのロバート・グラスパー(Robert Glasper)によるアルバム『BLACK RADIO』がリリースされた2012年。近年で最も新しい動きが見られ、「現代ジャズ」という言葉が踊った時期であり、多くの才能が各楽器で現れた。ボーカリストで言えば、パーラトがその一人だろう。

日本では、昨年放映されたドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』の挿入歌『All The Same』で知っている人もいるかもしれない。今回の公演では、夫である気鋭ドラマーのマーク・ジュリアナ(Mark Guiliana)、ピアニストのテイラー・アイグスティ(Taylor Eigsti)、ベーシストのクリス・モリッシー(Chris Morrissey)を伴ってステージに立つ。

前回のホリデー公演では、息子も交えて歌唱する家族パフォーマンスも披露。今年もクリスマスシーズンにぴったりな楽曲が聴けるであろう、スペシャルな3日間に期待だ。25日は全席グラスシャンパンとクリスマスディナーコース付きのチケットなので、特別なクリスマスを楽しんでみては。

※25〜27日/1st 18時〜、2nd 21時〜(26・27日は20時30分〜)/ブルーノート東京/料金は25日 2万4,500円、26・27日 9,500円〜

そるとでジャズ・ライヴ 中村海斗 QUARTET

老舗の「ジャズバー そるとぴーなつ」で、新鋭ドラマーである中村海斗によるカルテットのライブが開催される。現代ジャズで最も進化が進んだ分野の一つがリズム。ヒップホップの拍からずれたサンプリング感覚がプレイヤーによって洗練された結果、リズムの細分化が進み、1拍に含まれる情報やグルーヴ解釈の幅が相当に広がった。
さらにSNSの普及もあってか「チョップス(ゴスペル・チョップス)」と呼ばれる乱打フレーズをはじめとした、テクニックの切磋琢磨(せっさたくま)も激しい。RLK(Right・右手、Left・左手、Kick・足)の組み合わせで考えるゲーム的でシンプルな発想もあってか、ドラム人口も増えていると聞く。

そういった流れで、我が国でも才能のある新世代ドラマーが何人も頭角を現しているが、中村は存在感のあるビートで音楽をコントロールしてしまう存在だ。彼のドラミングが火を吹いた時の高揚感は、ぜひ生で体験してほしい。この日は馬場孝喜(ギター)、布施音人(ピアノ)、高橋陸(ベース)というカルテット編成だ。

贅沢過ぎる年末のひとときを、実力派の奏でる音楽とともに過ごそう。

※27日/19時30分〜21時50分/ジャズバー そるとぴーなつ料金は2,500円〜(チャージ1,500円、テーブルチャージ500円、ドリンク類500円〜)

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