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谷中散歩はパンを片手に、築80余超の古民家に「Think」がオープン

ホテル出身のシェフが手がけるブーランジェリーパティスリー

テキスト:
Aya Hasegawa
Think シンク
Photo: Kisa ToyoshimaThink
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2023年4月1日(土)、「上野桜木あたり」に、パンとスイーツを販売する「シンク(Think)」がグランドオープンする。上野桜木あたりは、2015年3月、築80年を超える古民家を再生する形でオープンした複合施設だ。

シンク Think
Photo: Kisa Toyoshima

地名である上野桜木周辺にあるのは確かだが、施設名である。JR日暮里駅、東京メトロ千代田線根津駅・千駄木駅からいずれも徒歩で約10分程度だが、それぞれの駅からの散歩がまた楽しい。例えば日暮里駅からは、谷中墓地を突っ切るコースを通って行ける。

上野桜木あたりは、1938(昭和13)年に建てられた3軒の古民家で構成されており、ぞれぞれ「あたり1」「あたり2」「あたり3」と呼ばれている。シンクがオープンするのは、あたり2の1階だ。

飲食スペースはないが、購入したパンや焼き菓子は中庭で食べることができる。すでにプレオープンしており、取材日も花見目当てで訪れた谷中墓地から足を延ばしたと思われる外国人観光客が、物珍しそうに施設内をのぞき込んでいた。

Think シンク
Photo: Kisa Toyoshima

さて、新たにオープンを果たすシンクは、ヨーロッパでは一般的な「ブーランジェリー パティスリー」という、パンと菓子の両方を販売する形態を取っている。商品を陳列する道具には、栃木県の芦野石を加工したものを使用。これがなかなかの存在感で、900キログラムもの重さがあるそうだ。銘石の質感は丹精込めて焼かれたパンや菓子を美しく引き立てる。

Think シンク
Photo: Kisa Toyoshima

パンを担当するのは鈴木嵩志。フランスの製菓学校を卒業後、フランス東部の都市・アヌシーで研修を積み、「パティスリーサダハルアオキパリ」「ゴントラン シェリエ」などで腕を磨いた後、「ハイアットリージェンシー東京」のチーフ、そして、代官山ほかで4店舗を展開する「ガーデンハウスクラフツ」のシェフブーランジェとして活躍する。

Think シンク
Photo: Kisa Toyoshima

菓子は仲村和浩が担当。鈴木と同じフランスの製菓学校を主席で卒業し、ストラスブール「ティエリー・ミュロップ」で研鑽(けんさん)を積んだ。帰国後は「パティスリー・サダハル・アオキ・パリ」に勤務し、製菓の基礎を修得。その後、ブライダル関連企業・個人店立ち上げなどの勤務を経て、「ハイアット リージェンシー東京」で同社最年少となるシェフパティシエに就任した。

シンクのコンセプトについて仲村は、「『Back to New basic』──、新しいものをゼロから作り出すというより、既存の価値観を大事にとらえ、ベーシックなものやクラッシックなものへ目を向け、現代的なエッセンスを加えながら、新たな価値につながるような提案を行っていきたいと考えています」と語る。

シンク Think
Photo: Kisa Toyoshima

ハードブレッドは、鈴木独自の水種(小麦粉と水を合わせ、麹(こうじ)甘酒を加えて24時間以上水和させたもの)と、湯種製法を掛け合わせる製法で焼き上げた。「2、3日目まで中が乾燥しません。比較的長い時間、お楽しみいただけます」と、鈴木は話す。

中でもカンパーニュ(ホール1,400円、以下全て税込み)は、鈴木が「作っていて一番楽しい」と言い切る自信作だ。高加水にした生地に自家製酵母のルヴァン種を加え、爽やかな酸味と独特のもっちりとした食感と、しっかりと焼き込まれた食感のコントラストが楽しい。

Think シンク
Photo: Kisa Toyoshima

「ほかでは購入できないようなパンを提供したいと考えました。食パン(1本900円から)もシンプルな材料で仕上げていますが、通常の食パンよりたくさんの水を入れるなどして手間をかけて作っています。これまで食べたことがないくらいのもちもち感があり、また口溶け良く仕上っていると思います」(鈴木)

Think シンク
Photo: Kisa Toyoshima

発酵バターやナッツなどをふんだんに使用し、フレンチパティスリーをベースとしたスイーツは仲村の真骨頂だ。発酵バターを使い、風味豊かに焼き上げたマドレーヌ(230円から)をはじめ、フランスの地方で食べられているローカルなスイーツも積極的に紹介していくという。

「昔ながらの、知っているようで知らないフレンチクラシックなお菓子も積極的に提供していきたいと考えています」(仲村)

Think シンク
Photo: Kisa Toyoshima
Think シンク
Photo: Kisa Toyoshima

24時間以上生地を寝かせて作る、しっとり滑らかなカヌレもぜひチェックしたい。 ほかにも「とうきびバター醤油」(300円)や「明太フランス」(330円)、「ベーコンクリームパイ」(400円)など気になるパンや菓子がいくつもラインアップしていた。

 なお、6月には2階部分に古民家カフェ「雀」がオープン。和の素材や製法を取り入れた和スイーツを中心に提供していくという。谷中エリアの散策がまた楽しくなりそうだ。

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