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熱海では、芸術祭「ATAMI ART GRANT 2022」が2022年11月27日(日)まで開催中だ。同イベントACAO SPA & RESORT、駅周辺、来宮(きのみや)、起雲閣エリアを中心に、独創的な若手の公募アーティスト30組の作品を展示。「渦ーSpiral ATAMI」をテーマに、アートによって熱海の魅力を再発見し、目に見える形にすることを目的とした芸術祭である。
また、「アカオ スパ アンド リゾート(ACAO SPA&RESORT)」をアトリエとして提供する滞在制作型プロジェクト、「アカオ アート レジデンス(ACAO ART RESIDENCE)」の参加アーティスト20組によるサイトスペシフィックな作品も併せて鑑賞できる。今回は、そんなイベントの見どころをダイジェストで紹介しよう。
1. レトロ建築とアートのコラボレーションを満喫する。
まず必ず鑑賞してほしいのは、「ホテル アカオ アネックス(HOTEL ACAO ANNEX)」での展示。昭和のクラシック建築に内包されたアートは、この場所にあるからこその独特の魅力を放っている。中でも荘厳なダンスホール「サロンド錦鱗」内に16点のペインティングを設置したHashel Al Lamkiの作品「Lucy」は、ひときわ目を引く。これはアラブ首長国連邦が支配していたパール産業を象徴するインスタレーションで、宝石を探すダイバーをオマージュしている。
豪華絢爛(けんらん)な「メインダイニング錦」に展示された作品「Majilis」は、ホテル内にある椅子やテーブルを使ってアラブの居間を演出したインスタレーション。アラブとバブル期の日本の家具が、どこかリンクしていることを感じさせてくれる。
ゴージャスなシャンデリアが点在するロビーで圧倒的な存在感を放っているのは、「六本木アートナイト2022」でも話題を集めた松田将英のインスタレーションだ。シニカルな表情の絵文字を巨大化した同作品は、スーパーフラットならぬ「ビッグフラット」を強調した作品となっている。
ホテルの建設の歴史をもとに、客室の一室を活用して仕上げた二ミュの作品も見逃せない。「サヨナラワルツ」をテーマにした同作品では、過去と現在の関係を体験するための複数の要素を取り入れ、昔のゲストとその場の鑑賞者のエネルギーで、部屋を充電することを目指しているそうだ。
2. 街の新しい顔に見とれる。
時間に余裕があるなら、街中の意外な場所に設置された作品も鑑賞してみてほしい。起雲閣エリアの「熱海魚市場」を背景に展開されるのは、「人の表情の裏側にその人の魂が宿る」と語るアーティスト、大野光一による複数の顔が描かれたインスタレーション。同じ場所で「仮面づくりワークショップ」も開催しているので、公式ウェブサイトを確認してみよう。
「熱海の三大別荘」と称賛される「起雲閣」内には、高木彩圭の作品「無声の詩」が展示されている。この場を訪れた文豪たちや建物から着想を得て仕上げたもので、写真、映像、絵画を組み合わせ、奥と手前でそれぞれ対になったアートは庭の背景ともリンクしている。
3. 「給電アート」の可能性に触れる。
自然あふれる「アカオビーチ(ACAO BEACH)」の入り口付近にある小屋に設置された、映像インスタレーションも必見だ。
アーティストのMESは、車から電気を取り出し、移動できる電源として使えるトヨタ社製給電車とレーザー、サーモグラフィーを活用した「給電アート」を初の試みとして作り上げた。光や動きによる表現の可能性を拡大化した作品なので、ぜひ自分の目で確かめてみてほしい。
4. スタンプラリーで限定アートをゲットする。
今年は新たな試みとして、NFTを活用したスタンプラリーも実施。展示会場やNFT設置箇所(全20カ所)を巡り「QRコード」をスキャンすると、米澤柊と岸裕真がコラボレーションした作品を数量限定で受け取れるので、チェックしてみよう。
5. 宿泊から移動までアート漬けになる。
芸術祭をたっぷり楽しみたいなら、現代アートのギャラリースぺースをエントランスに備える「ホテル アカオ(HOTEL ACAO)」に宿泊することをおすすめしたい。
移動手段は、作品鑑賞パスポート付きの「アタミデスバスアートツアー(ARTAMI des BUS ART Tours)」はいかが。バスの中では、参加アーティストの映像やサウンド作品を体感でき、作品の魅力をガイド付きで楽しめる。
このほかの詳細は、公式ウェブサイトからチェックしてみてほしい。鑑賞パスポートは、提示することで会期中何度でも会場を回ることができる。この機会にアート旅で、熱海の街や温泉の魅力に浸ってみては。
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