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1948年のロンドンオリンピックが別名「緊縮オリンピック」と呼ばれていたことを知っているだろうか。この年、ロンドンはまだ第二次世界大戦の痛手からの回復の途上にあったが、世界中から選手を迎えることを決断。初心に帰ってシンプルに、ありあわせの資源を活用して大会が開催されることとなった。
大規模なスポーツ施設が新たに建てられることはなかったが、仮設の選手村には、あるフィンランドの企業によって寄贈されたつつましやかなサウナが設けられた。大会が終了すると、この木造プレハブのサウナ小屋はケント州・メードストンへ移築。今では現存する数少ない同大会の遺構となっており、イギリス国内で機能するサウナとしては最も古いものである。そして現在、このサウナを巡って新たな動きが展開されているのだ。
同施設は長らくの間、地元の「Cobdown Sauna Club」のメンバーによって使用されてきた。だが、2020年に行われた安全検査で電気系統の不具合とヒーターの故障が見つかり、メンバーはその修理費用を賄うことができなかった。そこで関係者らは、補助金を得て施設を復旧させるべく、法的に価値が認められる「イギリス指定建造物」への申請に向けてかじを切ったのだ。
この動きを先導したのは駐英フィンランド大使のユッカ・シウコサーリ(Jukka Siukosaari)。シウコサーリはThe Guardianの取材に対し、「ユニークな建築としての観点だけではなく、フィンランド・イギリス関係史、両国のスポーツ史における重要性の観点からも」同施設を保存する価値があると語っている。
クラブの幹事で出納係も務めるリチャード・ヤング(Richard Young)はこう言う。「この場所は単なるサウナではなく、社交の場なのです。スポーツセンターにもサウナはありますが、騒がしいし、いろいろな種類の人がいます。でも、ここでは皆が友達です。ここでの交流が懐かしく感じます。くつろげて、偽りがない。特別な場所です。」
2024年1月19日、同施設は「イギリス指定建造物」の2級に指定された。
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