ニュース

ロンドンのV&Aに新しいデザインギャラリーがオープン

1900年から現在までの「イノベーション」が集約

Chris Waywell
テキスト:
Chris Waywell
Deputy Editor, Time Out London
Design 1900 to Now installation shots,16th June 2021
Photograph: Peter Kelleher
広告

フィットビット、キム・カーダシアンのセルフィー本、ロボット芝刈り機……。これらの共通点が分かるだろうか。実は、ロンドンにあるビクトリア&アルバート博物館V&A)に新しくオープンしたギャラリー、Design 1900-Nowの展示物だ。

ここで見られるのは、1900年以降から現在まで、1世紀以上の間に見られた「イノベーション」。それぞれの時代における新しい素材、技術、執着、ミーム、脅威などが見事に集約している展示といえる。

展示空間は、「自動化と労働」「住まいと暮らし」「危機と対立」「消費とアイデンティティー」「持続可能性と転覆」「データとコミュニケーション」という、6つのテーマで構成されている。

UK road sign
Photograph: Kieron Boyle

冒頭に挙げた展示品のほかにも、例えば、マーガレット・カルバートとジョック・キニアがデザインしたイギリスを象徴的する道路標識システム、ナイキが作った2018年サッカーワールドカップ向けのナイジェリア代表ユニフォーム、そして男性向けの矯正下着なども並ぶ。これらは、博物館の膨大な既存コレクションから集められたほか、V&Aが最近購入したものもあるという。

このギャラリーはV&Aが2014年に始めた「Rapid Response Collecting(RRC)」という、過去にさかのぼるのではなく、その物が現れた時に入手するという方針の収集活動を体現し、進化させていくための象徴的なスペースでもある。そのため展示品として、フィットビットが含まれているのだ。

ここ最近RRCで集められた展示品は、新型コロナウイルスの拡散を防ぐための3Dプリンター製ドアオープナー、アジア系ヘイトの撲滅を訴える『I Believe in Our City』キャンペーンのバス停用ポスター、エッセンシャルワーカーを起用した英国版ヴォーグの表紙、感染防止に使われたシュノーケルマスクなど。この激動の一年を振り返ることができるものばかりだ。

Design 1900-Nowは、ますます速く回転する世界の魅力的で変化に富んだポートレートであると同時に、時には立ち止まってしまう展示でもあるといえる。男性向けの矯正下着? たしか、一度だけ着用した記憶がある。

原文はこちら

関連記事

ウサギの穴から不思議の国へ、ロンドンでアリス展が開催

ロンドンのジミヘンゆかりの地に青い銘板が設置

ロンドンでカルト的人気を誇るイタリアンが今夏、表参道にオープン

無料観賞できる日本各地の博物館、美術館オンラインビューイング

東京、ベストデザインカフェ15選

最新ニュース

    広告