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池田理代子による不朽の名作「ベルサイユのばら」(以下、ベルばら)。本作の誕生50周年を記念した展覧会が、2022年9月17日に「東京シティビュー」で開幕した。
「ベルばら」は、1972〜1973年に「週刊マーガレット」で連載された少女漫画である。舞台は、革命に揺れる18世紀のフランス。男装の麗人である主人公のオスカルと王妃のマリー・アントワネットを中心に、多彩な人物の波乱に満ちた生涯を描く群像劇だ。
緻密な時代考証に裏打ちされた壮大な物語が好評を博し、子どもから大人までを熱狂させる一大ブームを巻き起こした。少女漫画では史実ものはヒットしない、という常識を塗り替えた画期的な作品として知られている。
優美な雰囲気を再現した会場には、貴重な原画や宝塚歌劇のコーナー、テレビアニメの資料、コラボレーショングッズなどが並び、さまざまな切り口から本作の長い歴史をたどっていく。ここでは、半世紀にも及ぶ物語をひもとく本展の見どころを5つ紹介しよう。
1. 晩餐会へ参加する。
会場で最初に足を踏み入れるエントランスには、ベルサイユ宮殿をイメージした優美な回廊が広がる。赤いカーペットを歩いた先には、オスカルとマリー・アントワネット、フェルゼン、アンドレが立っており、さまざまなドラマを繰り広げた4人とまずは記念撮影を楽しみたい。
昼と夜では雰囲気が異なるが、晩餐(ばんさん)会に参加したかのような気分を堪能できる夜の時間帯に訪れるのがおすすめだ。薄暗い照明と窓面の高い位置に飾られた肖像画が、本作の優雅な世界へと引き込んでくれるだろう。
窓際にあるオスカルとマリー・アントワネットのパネルの間からは、ライトアップされた東京タワーが眺められる。原画の展示へ行く前に、劇画ムービーと作品年表から本作を一気におさらいしておこう。
2. 原画で半世紀を駆け抜ける。
宮殿を後にしたら、約180にも及ぶ原画が集結したコーナーへ。オスカルとマリー・アントワネットの2人にフォーカスし、両者の誕生と出会い、それぞれのドラマ、そして革命での壮絶な最期までを原画で概観できる。オスカルが民衆とともに立ち上がることを決意する場面や、アンドレと心を通わせるシーンなど、胸が熱くなる力作ばかりだ。
漫画ファンならば必ず見ておきたいのが、連載当時でも珍しい2色と4色を使用した貴重なカラー原稿だろう。池田自身が着色したという原稿から、過去の漫画文化にも触れてみよう。
連載終了から約40年ぶりの新刊「ベルサイユのばら エピソード編」の原画も展示。印象的な場面と池田の言葉が同時に楽しめる。フェルゼンやジェローデルに関するストーリーなど、40年の時を経たからこそ描けたというシーンをじっくりと観賞してほしい。
3. オスカルのドレス姿に泣く。
男として生きてきたオスカルだが、生涯で一度だけドレスを着用したことがある。フェルゼンへの思いを断ち切るために、舞踏会へ訪れた時だ。
そのドレスが原画コーナーの一角に飾られている。これは文化服装学院オートクチュール科の14人の学生が、2007〜2009年開催の「ベルサイユのばら35周年記念展」のために制作したもの。色合いやアクセサリーなど池田の意向を反映しながら美しい衣装を作り上げた。
現物のドレスとその制作秘話に加え、作中でのドレス姿のオスカルを描いた原画を一緒に味わえるまたとない機会だ。作者が純白というカラーにこだわった理由も明かされている。
4. 宝塚の門をたたく。
「ベルばら」の歴史の中で、宝塚歌劇団の活躍は欠かせない。1974年に宝塚で舞台が上演されると、またたく間に成功を納めた。上演当初は賛否両論が巻き起こったものの、新しい挑戦を続けた結果、再演を繰り返す大ヒット作となる。
宝塚のエリアでは、オスカルとアンドレが愛を誓う場所「オスカルの居間」をイメージしたコーナーが登場する。オスカルとマリー・アントワネットの衣装や小道具、衣装デザイン画、台本、公演プログラムも展示されており、まるで舞台裏をのぞいているかのよう。壁一面に並ぶ過去の公演ポスターも圧巻だ。
演劇を堪能した後は、多彩な角度から「ベルばら」を観賞しよう。テレビアニメ版のセル画や原図、アフレコ台本に加え、今では入手困難の懐かしいグッズ、翻訳本などバラエティーに富んだ品々が待ち構えている。
5. 味覚の貴族になる。
本展ではスイーツやドリンクなど「食」に関する多様なコラボレーションを実施。展覧会の締めに、ここでしか味わえないものから本作を楽しんでみてはどうだろう。
有名パティスリー「ラデュレ」からは、マカロンの限定ボックス「ローズ・ド・ベルサイユ」(3,780円、以下全て税込み)が登場。パリに本店を構える老舗紅茶ブランド「ニナス マリー・アントワネット」のティーバッグセット(9,504円)や、「メサージュ・ド・ローズ」のバラ型のチョコレート(2,700円)など、ギフトにも喜ばれるアイテムが揃う。「オークスハート」の「バラの酢」(60ミリリットル、972円)といった変わり種も手に取ってみては。
会場に隣接するカフェでも華やかなメニューを用意する。王妃が愛したクグロフケーキ(1,450円)、フランス国旗をイメージした「オスカルパフェ」(1,280円)といった個性豊かな一皿で、特別な時間を過ごそう。「グランド ハイアット 東京」のこだわりが詰まったアフタヌーンティーを試すのもいいかもしれない。
類まれなる傑作を、この機会に味わい尽くしてみては。
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