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京都を拠点に国内外で作品を発表する作家50人によるグループ展「東 京都(ひがしきょうと)展 The Echoes of East Kyoto」が、2024年5月7日(火)まで、天王洲の「ワットカフェ(WHAT CAFE)」で行われている。本展の企画は、3人の現代美術家、鬼頭健吾・大庭大介・名和晃平によるキュレーションユニット「鬼大名」が担当した。
3人のほかに参加しているのは、椿昇やヤノベケンジ、神谷徹、ミヤケマイ、池田光弘ら、京都芸術大学で教壇に立ちながら精力的に作品を発表する現代美術家と、彼らの教え子たちを中心とした若手の作家たちである。
アーティスト主導のアートフェアとして京都に定着しつつある「ARTISTSʼ FAIR KYOTO」や、「銀座 蔦屋書店」での企画展などを展開している「鬼大名」の3人も、京都芸術大学の大学院などで長く教鞭を執っている。教育と実践、大学と実務、学生とプロといった垣根を越え、若手作家の育成と活躍の場づくりにも非常に積極的だ。
開催に際して鬼頭は、およそ100点もの作品が展示・販売されていることについて、「ここまで大きな規模で、京都を中心に活動する作家たちを東京でご紹介できることをとてもうれしく思っています」とあいさつ。また大庭は、10年にわたって教員を続けてきた中で「ここまで多くの作家たちを卒業生として世に送り出せて、自分たち教員とも継続的につながりを持ってこれたことは素直にうれしく、すごいことだと感じています」と語った。
名和は、「鬼大名」の3人が作家活動を主軸にしながら教員を続けていることについて、「自分たちは先生らしくないし、学生や卒業生というより作家仲間という感覚でコミュニケーションをとり続けてきました。本展では、参加している教員とも相談しながら3人で議論しつつ、大学の卒展のような、さまざま作品が混然一体とした空間ができました」と話した。
また、鬼頭が作家として企画し、大庭や名和も参加したグループ展「THE ECHO」(2018年に横浜の「ザイム(ZAIM)」で開催)に触れながら、「本展を通して作家同士、作家とキュレーター、作家とギャラリーとのつながりが生まれる機会になることを期待しています」と語った。
ポテンシャルの高い作家が生まれ続ける背景には、京都という土地が育んできた独自のアートの生態系があるだろう。コンパクトな都市でありながら、美術を学べる大学がいくつも集まっており、大阪や滋賀・大津、神戸など近隣の地域に作家たちのスタジオが点在している。また、作家同士の緩やかな縦横のつながりが育まれ、数多くのギャラリーやアートフェア、アートホテルやカフェなどを通じて、アートが都市へと染み出していった結果とも言える。
会場のワットカフェは、自然光も差し込む、柱のない開放的なワンフロアの空間。ゆったりと歩き回りながら、平面・立体を問わず、多彩な作家たちの作品を通して、京都のアートシーンの今を余すところなく体感できる。人気のため入手困難な作家も多く参加しているが、全ての展示作品は、先着順で購入が可能だ。作品に添えられた「QRコード」から、作家のプロフィールやプライスリストを確認できる。
世代や立場を超え、緩やかでリアルなつながりやコミュニケーションが続いているからこそ実現した、貴重で魅力的な機会だ。ぜひ会場へ足を運んで楽しんでほしい。
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