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コロナ禍に生まれた流行、テイクアウトカクテルの今後とは

各都市で生まれた流行を3人のバーオーナーが語る

Morgan Olsen
テキスト:
Morgan Olsen
Global Food & Drink Editor
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ホスピタリティ業界はこの1年間、生き残りをかけて絶え間なく自己改革を遂げてきた。バーで見られた変化の一つに、テイクアウトカクテルの流行がある。

コロナ禍で、料理のテイクアウトや夏季のテラス席営業に頼ることが難しく窮地に陥っていたロンドン、ニューヨーク、香港など世界中のバーは、自慢の一杯をボトルに詰めて持ち帰られる取り組みを開始。バーのオーナーたちは自分の好きな仕事を続けながら請求書の支払いができるようになり、常連客は自宅でお気に入りのバーのカクテルの味を楽しむことができるようになった。つまり、このアイデアは皆を助けたのだ。

ロックダウンが解除され、世の中が再び動き始めてワクチンが手に入りやすくなると、テイクアウトカクテルはどうなるだろうか? 世界で高い影響力を持つバーテンダーの中には、これから数カ月、我々が新しい日常に移行していくなかでも、このトレンドは続くと考えている人がいる。

ニューヨークの有名なバー、Danteの共同経営者であるリンデン・プライドは、「パンデミックが始まってからこの1年で、人々の習慣は変わっており、まだまだ強い需要があると思う。テイクアウトカクテルはまた重要な収益源でもあり、パンデミックで負った損失からの回復には欠かせないメニューでもある」と教えてくれた。

ニューヨークにあるDanteはパンデミックの早い段階から配達とテイクアウトに軸足を移し、世界的に有名なネグロニ、マティーニ、オールドファッションドを瓶に詰めて提供。ニューヨーカーがロックダウン中でもおいしく飲めるようにした。1年たって、屋内でのサービス提供を再開したにもかかわらず、テイクアウトカクテルの需要は依然として堅調のようだ。

実はアメリカの多くの都市では、カクテルの持ち帰りを続けるかどうかより、持ち帰りが許可されているかどうか、という問題もある。2020年にニューヨークやシカゴなどの都市で合法化されたカクテルの持ち帰りは、バーがパンデミックによる危機的な状況を乗り切るために制定された時限的な法律のもとで可能になった。現在、ニューヨークやカリフォルニアなどの都市では、時限的な措置の期限が切れることを見越して、関連団体が法案の延長や恒久化を求めている動きが起きている。

シカゴにある有名な日本スタイルのバー、Kumikoの共同オーナーであるジュリア・モモセは、バーにおける予備的な取り組みを2020年からリード。草の根団体、Cocktails For Hopeの一員として、イリノイ州における持ち帰りアルコールドリンクの一時的な合法化に尽力した。このルールは2021年5月に期限切れを迎えるが、モモセによると、すでに無期限、または少なくとも5年間の延長を含む法案が提出されているそうだ。

「多くの店が、すぐに以前のような完全な形での営業に戻り、収益を確保していくことは難しいでしょう。こうしたルールの延長は、店が継続するためのパズルのピースとして重要な役割を果たすことになります」と、モモセはルール継続の必要性を訴えた。

テイクアウトカクテルについては、経済的な余裕をもたらしたことに加え、この1年間で多くの客がこのようなサービスを期待するようになったという事実もある。テイクアウトという手法が、このなかでどう進化したかを想像するのは難しくないはずだ。

Kumikoでは、モモセと彼女のスタッフが、定番のハイボールやユズのギムレットから、日本酒、焼酎、紫芋酢を使った『トリプティーク』のような複雑なものまで、あらゆるカクテルをボトルに詰めている。

モモセは次のように締めくくった。「素晴らしいバーを訪れて、その夜の終わりに、友人や隣人、家族と分かち合うためのカクテルをいくつか購入できることを想像できますか? この取り組みは、顧客体験を向上させながら、平均収入を大幅に上げることができるものなのです」

ロンドンのバー、Swiftの共同経営者であるミア・ヨハンソンは、今カクテル市場が広がり、ビールやワインのように、世界中のグローサリーストアやスーパーマーケットで簡単に手に入る商品へと成長する初期段階にあると考えているようだ。テイクアウトのボトル入りのカクテルも、同じように扱いをされるべきかもしれない。

2020年11月、Swiftは、ロンドンのトップバー、NightjarやOrioleと共同で、Speakeasy at Homeをローンチ。エルダーフラワーギムレットやスパイシー・マルガリータなどを渇望しているロンドン市民に、カクテルをオンデマンドで届けるサービスを始めた。ヨハンソンはこのサービスを、たとえ一緒にいられなくても、人と人をつなぐ「器」のような役割を果たしていると捉えているようだ。

「バーはもてなしの楽しみ方を広げました。金曜日の夜に最高の服を着てカクテルを飲むという堅苦しさはなくてもいいのです。カクテルは楽しいものであり、いつ飲んでも、どんな風に飲んでもいいと思います。もちろん、責任は伴いますが」

パンデミックにより、今回登場した3人のバーオーナーのビジネスは大きく変化した。終息のめどは立っても、復興への道のりは険しいものになるはずだ。そろそろ、世界のバーでもテイクアウトカクテルを「常備する」という考えが出てきてもおかしくない。

Danteのプライドは「パンデミック後の12カ月間に多くの人々の習慣や儀式が変わった後、クラフトカクテルがお気に入りのバーの外で楽しめないという理由はない」と言う。

我々はお気に入りのバーが再開されたら真っ先に並ぶが、バーを出る時に、何杯かカクテルを持ち帰れることを当たり前のように感じ、利用することになるだろう。

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