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アメリカの実業家、故エリ・ブロードのコレクションをもとに設立されたロサンゼルスの美術館であるザ・ブロード。同館ではこれまで、収蔵しているアーティストの中でも大スターといえるシンディ・シャーマン、草間彌生、ジャン=ミシェル・バスキアの個展を開催してきた。そして、過去のグループ展でも特に人気があったこのアーティストの個展の開催も、時間の問題だったといえるだろう。
そう村上隆だ。漫画のようにほほ笑む花や、ポップでカラフルな神話の壁画で知られる日本人現代アーティストがこのこの春、ブロードの特別展でフィーチャーされることになった。『Takashi Murakami: Stepping on the Tail of a Rainbow』と題された同展は、2022年5月21日(土)にオープンニングを迎え、9月25日(日)まで開催される。
ザ・ブロードが所蔵する村上作品は18点で、今回の個展では、その全てを展示。ザ・ブロードが開館した当時一緒に展示されていた、奇抜な彫刻作品『DOB in the Strange Forest (Blue DOB) 』と幅82フィートの『In the Land of the Dead, Stepping on the Tail of a Rainbow』が再び観られるほか、巻物に影響を受けた『100 Arhats』も登場する。
さらに、ザ・ブロードでは村上と彼のスタジオであるカイカイキキと協力し、館内に「没入型の環境」を構築するという。どんなものになるのかは、オープニング間近には発表される予定だ。
ザ・ブロードでは、村上展と同じ時期、アメリカ国旗の象徴性を探る展覧会『This Is Not America's Flag』も開催。星条旗の象徴性を唱え、またそれに挑戦してきた20人のアーティストによる作品を展示する。
この展覧会は、2020年夏に起きた人種的正義を求める草の根運動から生まれたもの。紹介されるのはジャスパー・ジョーンズの『旗』、デヴィッド・ハモンズの『African-American Flag』のほか、ローラ・アギラール、ニコール・アイゼンマン、ジェフリー・ギブソン、ハンク・ウィリス・トーマス、アルフレド・ジャール(彼の『A Logo for America』から展覧会名が付いた)の作品など。
ブロード創設ディレクターのジョアン・ハイラーは、「これらの展覧会で観られる作品は、社会と環境の深い激変に直面した時の回復、抵抗。美についてさえ語っている」と声明を発表。
「人種差別と新型コロナウイルスという2つのパンデミックは、現代アメリカのアイデンティティーに埋め込まれた多くの神話をむき出しにした。『This Is Not America's Flag』は国家の象徴の在り方を考え、アメリカの歴史と現在に光を当て、認識を問い直し、個人または社会として私たちが何を支持するのかと重要な問いを投げかけている。
村上隆の作品が同様にその複雑な図像の中に映し出しているのは、戦後の日本や福島原発事故など、危機と不確実性の時代への応答だ」と語った。
両展覧会のチケットは時間制となる。同じチケットで3階ギャラリーへの入場も可能。後日、無料開放日が発表される予定だ。村上展に魅了されたら、ギフトショップでカタログを買うのも忘れずに。
また、ザ・ブロードで好評の草間彌生の『無限の鏡の間』の状況だが、1月の再開は延期され、現在は3月の再開を目指しているという。春の両展覧会のチケットが発売される頃には、草間の展示も予約もできるようになるだろう。
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