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2022年9月にプレオープンした歌舞伎町のナイトクラブ、「THE 27 CLUB」に行ってきた。 店名になぞらえて毎月27日は必ずパーティーを開き、平日だろーがなんだろーが朝5時までブチ上がっているということで、それならばとその日をめがけて行ったのであるが、いやもうびっくりしたね。
取材当日はDJ&ダンスのイヴェントを開催しており、「果たしてどんなモンだべか~」と半ば物見遊山でノコノコ出かけてったのだが、マジですごかった。ひとことでいうと『実写版竜宮城』って感じだった。華美で強烈で絢爛、浮世を忘れるとはまさにこのことかと思った。その圧倒的なギラつきっぷりにぶっ飛んでしまった。
竜宮城は歌舞伎町に存在した
イヴェントがスタートする少し前に店を訪れ、支配人にいろいろと話を聞いたのだが、もうこの時点で面白かった。もともと「日の丸キャバレー」という1970年代から2000年末まで営業していたキャバレーに手を加えて完成したクラブだそうだが、風格にあふれた階段や、店内奥の日の丸をかたどった照明などは50年前から変わっていないのだという。だが、その照明と階段だけが浮いている感じはまったくしない。
床がガラス張りになっているステージや渋い模様のカーペット、説得力ありまくりなバーカウンターなど、すべての装飾が高い美意識でもって調和し、むせかえるような盛り場のムードを見事に作り上げている。
「非日常」を構築する志と美意識
この日は著名なポールダンサーも多く来ていたのだが、そのうちの一人、Allie kamikazeも「映画のワンシーンだと思ってパフォーマンスするとエネルギーが違う。ここは映画の中にいるような気分にさせてくれる」と、太鼓判を押していた。
気合が入ってるのは内装ばかりではない。運営理念もガチガチのマジである。根底にあるのは「ここから何かを始めよう」という強い意識だ。一般に「怖い場所」と思われている歌舞伎町で、スケーターだったりダンサーだったりラッパーだったりファッショニスタだったり、そういった文化活動にまい進する若者を集めて、ここからカルチャーを発信していきたいのだという。
グランドオープンはまだ未定だが、すでにファッションブランド「SON OF THE CHEESE」のヴィジュアルや、YENTOWNがミュージックビデオを撮影したりもしているらしい。また、渋谷で自分たちにフィットする遊び場を見つけられずにあぶれてしまっている若者たちをキャッチしたいともいう。
だもんで、価格設定を決して高くせず若者が来やすいように、かといって安くしすぎて文化人の足が遠のかないように、しっかりバランスをとろうとしているとのコトであった(この日はイベントのため入場料は3,000円、ドリンクは1,000円ほど、通常営業日は入場無料)。
だが、何より『志ハンパねえ』と思ったのは、「スタジオ54」を目標にしているという点だ。同所はニューヨーク西54丁目に存在したナイトクラブで、1977年から1980年にかけてわずか3年しか営業していなかったにも関わらず驚愕の逸話がゴマンとある伝説のハコなのだが、コレを現代の、しかもニッポン・シンヂュクで目指しているのがヤバすぎる。
ナスティでワイルドに、セクシーかつスリリングに
さて、いよいよイヴェント本編の紹介に移ろうと思うが、まあこれがすごかった。R&Bのコーラスグループみたいなラグジュアリーな格好をしたアフロアメリカンや、ポパイ(雑誌じゃなくてホウレンソウを食う方)並みの上腕筋を誇るマッチョ、ヒスパニック系のスケーターの青年など、客層が実に多彩な上に、誰も彼も遊び人としての気概と余裕を感じる。ショーパブ的な場所にありがちなウエットな性欲のムードや、チャラ箱的なウェイウェイ感は見当たらない。ナスティでワイルドな享楽的雰囲気が立ち込めており、本当に映画のようだ。
矢継ぎ早に登場するダンサー陣も実にすばらしかった。貧困なたとえで恐縮だが、『コブラ』のヒロインみたいな格好をしているダンサーがたくさんいた。そらあもう、すげえセクシー。プリンスやジャネイ、シャーデーやディアンジェロといった1980~90年代のR&Bをバックに展開されるダンスもこれまた大変セクシー。そのアプローチは実にさまざまで、鍛え抜かれた肉体を駆使しアクロバティックに踊るポールダンサーもいれば、和傘×キモノスタイルでしなやかに舞う男性ストリッパーもいたし、女性の顔前で扇状的に腰を振るダンサーもいた。とにかく多種多様だったワケだが、共通している点は徹頭徹尾、エンターテインしているというところである。
とにかく魅せるし、愉しませる。セクシーさというのは自信からくるものだと思うが、ダンサーの方々がオノレの中に積み上げてきたものに対する強い確信が、すさまじくセクシャルなムードを放っていた。僕など拍手のしすぎで掌が痛くなったほどだ。
中でも、前述したAllieのパフォーマンスは圧巻で、一挙手一投足、指先までもほんとうに美しかった。終演後にソファへしなだれかかる所作さえも魅力的だった。それでいて笑顔はたまらなくチャーミングなのだから、あんなモン誰でも虜になってしまう。
ショウほど素敵な商売はない、と確信するとき
ショーのクオリティーもさることながら、店内のブチ上がり方も実にイカしていた。カウンターでチップを購入し、それをダンサーたちへの「おひねり」として使用するシステムなのだが、そのチップの乱れ飛び方がこれまた豪快で、ダンサーたちのビキニ紐に挟まれたり、Tバックの紐にねじ込まれたり、時にはマネーガンで射出されたりしていた。そうやって床にバラ撒かれた紙幣をアイスペールで回収するボーイが袖口から鮮やかなタトゥーをのぞかせていたりして、なんかもう満点である。
トータルの絵面があまりにも面白すぎる。終電で泣く泣く帰ったのだが、朝方まであのテンションでぶっ飛ばし続けるのだと思うと『サイコ~』以外の感想がない。
パーティーとは真の自由を得るための戦いであり、楽しく生きる覚悟そのもののことだ。こんな時代のこんな国で、気合入れたパーティーをかまし続けるTHE 27 CLUBに最大限のラヴとリスペクトを。
また絶対遊びにいくし、マジであそこを借り切ってイヴェントやりたい。
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