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「世界のティーカンパニー」を目指す伊藤園が、茶の文化の発信拠点となる「お茶の文化創造博物館」と「お〜いお茶ミュージアム」を「旧新橋停車場」内に同時オープンする。
開館日は、2024年5月1日(水)。この日は、立春から数えて88日目の「八十八夜」で、同日に摘み取られる茶は古来から不老長寿の縁起物の新茶として珍重されるということから、この日を開館日に定めた。
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「お茶を通じた日本の食文化の継承」をコンセプトとしたお茶の文化創造博物館と、「現代のお茶文化を担うお〜いお茶を世界中の方々へ伝え継承」を標榜するお〜いお茶ミュージアム。本記事では、一足先にレポートする。
お茶の文化創造博物館で茶の時代をさかのぼる。
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お茶の文化創造博物館に足を踏み入れると、まずは「茶の伝播と歴史」のコーナー。東南アジア北部から中国南部を原産とする茶が、陸路と海路の広がりによって中国から世界へと伝播していった過程を、地図や年表とともに学べる。
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「お茶シアター」では、時代とともに変化してきた飲茶文化などについて、約10分の映像を上映。茶を刈り取る「摘採機(てきさいき)」の視点の映像は、さながら茶畑の中にいるような気分が味わえるだろう。
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平安時代から現代に至るまで、変化した茶の淹れ方や飲み方についての解説にも注目したい。昔と今の茶畑を再現したジオラマは、作り方の変化にも気付くだろう。1950年頃に使用されていた茶の製造機も展示する。
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江戸時代に豪商が茶を楽しむために使用していたといわれるからくり人形の「茶運び人形」は、スタッフが実際に動かすことも。茶碗を乗せると動き出し、茶碗を取ると止まり、再び茶碗を乗せるとぜんまいを回した人の元へ戻るという仕組みだ。釘や接着剤が使用されておらず、現在でも修理できるという。
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茶道で使用する茶道具や、江戸時代に大名や豪商が遠出する際に使用した屋外用茶飲みセット「茶弁当」、駅弁とともに楽しむために、静岡駅で販売された「汽車土瓶」など、その変遷が知れるようなさまざまなアイテムがラインアップする。
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そのほか、自生する茶の木の一生を描いたアニメーション、明治から大正にかけて緑茶を輸出する際の蘭字ラベル、江戸時代の茶屋を再現したコーナーも。見どころたっぷりの展示で、生活の中に溶け込んでいる茶について、改めて見つめ直すことができるだろう。
お〜いお茶ミュージアムで新たな茶を楽しむ。
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マスコットキャラクターである「お〜いお茶くん」が迎えてくれるお〜いお茶博物館では、商品の歴史や取り組みを紹介。当初「缶入り煎茶」として発売されたものの全く売れなかったという山あり谷ありの誕生秘話など、さまざまなことが知れる。
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電子レンジで加熱できるようになったりと時代に合わせて変化したパッケージの展示や、歴代のCMの映像は、誰かにとっては懐かしく、誰かにとっては新しいかもしれない。
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1989年、商品とともに誕生した、パッケージに印字されている「新俳句」。新俳句大賞の入選作品を紹介するほか、自分だけの新俳句を創作してシールに印刷することもでき、ラベルに貼れば入賞気分が味わえるだろう。俳人でエッセイストの夏井いつきや、幅広く活動するいとうせいこうによる選評も視聴できる。
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両館のエントランスにある一室では、厚生労働省認定の「伊藤園ティーテイスター」が講師を務め、急須を使った上級煎茶の茶入れ体験を通じて日本茶のおいしさを再発見するコースや、好きな絵柄やメッセージを書いて、オリジナルのお〜いお茶が作れる体験コンテンツが6月開始予定。来館した際のいい記念になるだろう。
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カフェでは、濃厚な抹茶にレモンと炭酸を合わせた「茶ポンス」や、もちもち食感のわらび餅が楽しめる「飲む抹茶わらびもち」をはじめ、さまざまな商品を揃える。茶の歴史や変遷を学んだ後の一休みにぴったりだ。
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ショップでは、ここでしか手に入らない「お〜いお茶くんぬいぐるみ」や、「お〜いお茶Tシャツ GASATANG × ITO EN(Oi Ocha)」、旧新橋停車場のロゴ入りの「汽車土瓶」などを販売。今後も続々とアイテムを拡充していく。
古くから茶の広がりと深い関係があったという鉄道の発展。鉄道開業の地である旧新橋停車場に開業する、茶の未来を共創する拠点に足を運んでほしい。
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