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コメディアン、俳優、映画監督としてマルチに活躍する北野武。監督としては、これまで「キタノブルー」として知られる芸術性の高い映像美と、圧倒的なバイオレンスで見るものを魅了させてきた。
このほど、映画「アウトレイジ 最終章」(2017年)以来、6年ぶりとなる新作映画「首」の完成報告会が開かれ、北野を筆頭に、西島秀俊、加瀬亮、中村獅童、浅野忠信、大森南朋が登壇した。構想に30年を費やしたという本作は、戦国時代を舞台にした時代劇。この時代背景だからこそ描けるバイオレンスや狂気、男同士の愛憎を独自の視点で描く。
2019年12月に出版された、北野の歴史長編小説を原作としており、羽柴秀吉(ビートたけし名義で演じる)、明智光秀(西島秀俊)、織田信長(加瀬亮)、徳川家康(小林薫)らを巻き込み、信長の「首」を巡る欲望と策略が入り乱れる中、「本能寺の変」へと突き進んでいく様を描いた。撮影は2021年4月から9月まで行われ、夏の暑さとリンクするような燃え上がるような作品となったようだ。
時代劇を描いた理由について北野は「NHK大河ドラマなどを見ていると、時代劇は綺麗に描かれ、武将はヒーローとして扱われ、人間の汚い部分や業というものが描かれていないと感じていた」と明かした。
また、「男同士が絡み合うことは非常に避けられているが、殿様に対して命をかけるというのは、そういう関係にあるというのは自分の考え方。それを描かずに戦国時代を語るのはおかしいとずっと言っていて、死を前にした男同士の関係、武将や侍の残酷さ、生と死をバックボーンに上手く描けたらと思った」と話した。
ティザー映像にはチラりと映っただけだったが、狂気漂う信長を演じた加瀬は「自分に信長役をくれるのは監督くらいしかいないかな、と思いました。全員酷い役で、残酷なシーンもたくさん出てくるのですが、北野監督がそういった残酷なシーンを描くと、最終的に品の良い映像になっていると感じましたし、他の監督では絶対に描けないと思いました」と仕上がりを絶賛した。
本作は「カンヌ映画祭」で2021年に設立された部門「カンヌ・プレミア」に出品することも決定。同部門への出品は実写映画としては日本人監督初となる。
1997年「HANA-BI」でヴェネツィア国際映画祭金獅子賞、2003年「座頭市」で銀獅子賞を受賞し、2017年の 「アウトレイジ 最終章」は、同映画祭のクロージング作に選ばれるなど、世界的にも評価されてきた北野。 再び世界に挑む今作の公開が待ちきれない。
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