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まだ田島列島の漫画作品を読んだことがない人は幸運だ。読み進めるほどに大きくなっていく感動の波にこれから浴すことができるのだから。
田島列島は、2008年に『ごあいさつ』(田谷野歩名義、『モーニング』に連載)でデビューして以来、初連載『子供はわかってあげない』(『モーニング』2014年14〜35号)、次作『水は海に向かって流れる』(『別冊少年マガジン』2018年10月号〜2020年8月号)がマンガ賞に次々にランクイン。うち2作品が実写映画化もされている鬼才である。親しみやすい絵柄と絶妙なワードセンスで軽妙洒脱な世界を見せる一方、人間描写は繊細さと素直さが同居しており、胸に刺さる。
そんな田島列島の世界を存分に感じられる原画展「田島列島はイイもの展」が、豪徳寺にある「旧尾崎テオドラ邸」で2025年1月18日から開催中だ。
現在連載中の『みちかとまり』(『モーニング・ツー』2022年10号〜)を除くと、連載は2作品のみと寡作家だったこともあり、田島列島の展覧会自体初となる。同邸理事で漫画家の山下和美が田島列島をかねてから「天才」と絶賛しており、オファーしたところ、見事実現したという。
本展では、過去の連載作品から『みちかとまり』まで、これまで描かれた全てのカラー原稿を展示。本展のために書き下ろされたカラーイラストを含む全55点の額装された原画のほか、『子供はわかってあげない』のネーム全ページ、モノクロ原稿などが、田島作品には欠かせない名セリフとともに展示されている。
初期の頃に使用していたという現代アートのような手作りデスクの再現、連載前に最終話まで完成していたという精緻過ぎるネームと比較するように展示された山下和美のラフなネーム、たっぷり1話分を生原稿で読むことができるコーナーなど、小規模ながら驚きと感動のある展覧会である。
会期は2期制で、前期(2月12日まで)が『子供はわかってあげない』。後期(2月14日〜3月4日)が『水は海に向かって流れる』を中心に紹介。一部展示内容が変わるので、作品推しの人は時期を外さないように注意しよう。
なお後期では、あの人気キャラクターの特設コーナーも登場するという。誰なのか、楽しみにしていてほしい。
同館でしか買えない直筆サイン入りグッズやオリジナルグッズも見逃せない。充実の図録をはじめ、アクリルキーホルダー、Tシャツ、名シーンが印刷されたポストカードなど、田島作品のグッズとしては初出しものばかり。まとめ買いする人もいるのだとか。
このほか、併設されている喫茶室ではコラボレーションメニューを展開。『みちかとまり』の、みちかが湖面に映る満月を飲むシーンから着想を得たスイーツメニューが楽しめる。
初のサイン会も予定しているという。田島ワールドが広がる空間へ足を運んでみては。
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