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レザーシューズ、プロダクトを展開する『エンダースキーマ(Hender Scheme)』が、2022年6月4日にオルタナティブスペースの隙間をオープンした。多様な職人やデザイナーが集まる蔵前で、今までにない価値を創造する拠点となることを目指す。
エンダースキーマは、デザイナーの柏崎亮によってスタートしたシューズブランド。身体的性差であるセックスを尊重しつつ、社会的および文化的性差であるジェンダーにとらわれない自由なデザインを発信している。名作シューズをオマージュしたシリーズで知られ、ものづくりへの情熱が詰まった革靴や革製の小物などを販売する。恵比寿、合羽橋、宮下公園には直営店のスキマもある。
ブランド初の試みとなる隙間は、エンダースキーマらしい実験的な空間だ。同施設のコンセプトは「物々交換」。ここでの物々交換は、スペースと出展者各々が持つ「価値」を、貨幣の介入なしで交換することを指す。経済中心的な思考とは異なるものの見方を提示し、来場者やアーティストなどさまざまな人々を有機的につなげていく。
施設は10日間の展覧会のためのスペースを、出展者は展示作品の中から1作品をそれぞれ交換する。スペースと出展者が金銭のやりとりを行わずに、アートイベントやプロジェクトをこの場で実施。作品の売上はもちろん全て出展者に支払われる。場所代や手数料が発生するこれまでのギャラリーの仕組みとは異なる、まさにオルタナティブなシステムといえるだろう。
玩具(がんぐ)店の倉庫を改装した施設は、モダンながらもどこか懐かしい空気が漂う。倉庫時代の傷や落書きがそのまま残っており、建物がたどってきた日々を想像できるのも面白い。大きなガラスの入り口から見える施設内の様子に興味をそそられ、ついつい足を運んでしまうはずだ。
記念すべき初回は、彫刻家の増井岳人による個展『NOW』を12日(日)まで開催。「時間」をテーマにした彫刻や平面作品などおよそ20作品が並ぶ。縄文土器の破片を組み合わせて新しい胸像を作る「happying」シリーズは、縄文時代から現代までの途方もない長い年月を考えさせられる。丸が整然と並ぶ「1 day」シリーズも、何気なく過ごしている一日を振り返るきっかけとなる作品だ。
今後は、画家の平松典己や書を生かした作品で名高い新城大地郎など、新鋭のアーティストが出展予定。刺激的なアートの拠点から目が離せない。
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