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2年の準備期間を経て、「2025年日本国際博覧会」(以降、大阪・関西万博)と同時開催する「Study:大阪関西国際芸術祭」。アートの力で大阪・関西万博と街をつなぐ本芸術祭は、参加アーティストとキュレーター、展示の詳細、コンセプトの第2弾を発表した。
文化芸術・ 経済活性化や社会課題の顕在化を意味する「ソーシャルインパクト」をテーマとする本イベントでは、18カ国からアーティスト約50人以上と5組のキュレーターが参加。ジャンルを超えた表現が大阪各地に登場する。
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安藤忠雄建築の「大阪文化館・天保山」では、ドイツの研究機関とともに、人間とは何かを問う「Reshaped Reality」展が開かれる。ハイパーリアリズムの人体彫刻にフォーカスし、各国で高い評価と動員数を誇る同展は、日本初開催だ。
イギリスのポップアートにおける第一人者の一人であるアレン・ジョーンズ(Allen Jones)、壁にテープでバナナを貼り付けた作品で知られるマウリツィオ・カテラン(Maurizio Cattelan)など、世界のトップクラスが集うメイン会場として展開。開催期間は半年間で、万博会場とも近いため行き来しやすいだろう。
大阪・関西万博会場内の各所でも、万博のインパクトを最大限生かすため、奥中章人、冨長敦也によるパブリックアートが鑑賞できる。
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続いて、かつて労働者たちが住まう場所だった「西成エリア」。近年、高齢化や外国人の増加により、さまざまなソーシャルな事象に向き合っているエリアだ。「こえとことばとこころの部屋(ココルーム)」
また、築約100年、増改築を繰り返した昭和の姿が今なお残る「山王ハモニカ長屋」を会場に加え、プロダクション・ゾミアによる「喫茶あたりや」 展を開催。新しい出合いと創造の場を生み出す。5〜10年後にはさらに変化が予想される西成の今を、記憶にとどめておきたい。
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東西南北、文化の交差する街「船場エリア」では、キュレーターの岸本光大が取り壊し予定のビルを使用する。関西拠点の美術家集団「The Play」に参加したシュウゾウ・アヅチ・ガリバーをはじめ、金氏徹平、川田知志など、幅広い世代の関西にゆかりのあるアーティストたちがローカルに目を向ける展示を行う。
また、ドラスティックに変わる街・梅田を中心とした「大阪キタエリア」では、佐久間洋司のキュレーションによる「思弁的な音楽/New Storytelling」展が開かれる。
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パフォーミングアーツでは、遠山正道による「新種のImmigrationsB 」が登場。遠山のポエムに、ギター、ドラム、テルミンが即興的に絡む新種のポエトリーバンドだ。
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さらに、岡本太郎の「太陽の塔」がある万博記念公園内の「国立民族学博物館」では、「川崎市岡本太郎美術館」の元学芸員の仲野泰生がキュレーターとなり、のんがアーティストとして参加する。本会場は、1970年の大阪万博と2025年の本芸術祭、大阪・関西万博が時代を超えて接続する象徴的な場となるだろう。
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黒川紀章建築の「グランキューブ大阪(大阪府立国際会議場)」では、韓国の現代アートフェア「Plastic Art Seoul」とアートフェア「Study × PLAS : Asia Art Fair」が共同開催。韓国の女優で、アーティストのハ・ジウォン(Ha Ji-won)も作品を出展予定だ。
本芸術祭の会期は、2025年4月11日(金)〜10月13日(月・祝)で、万博会場含むフルオープンは4月13日(日)。早くに終了する展示や、時期が異なるものもあるので、公式ウェブサイトで随時チェックしてほしい。大阪に全てが集合する4月を心待ちにしたい。
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