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無添加無化調で作るフランス料理をベースにしたベトナム料理が食通の間でも評価が高い、学芸大学駅のフレンチベトナミーズ店「スタンドバインミー(Stand Bánh Mì)」。その姉妹店「スタンドボブン(Stand Bò Bún)」が、2024年1月、隣の祐天寺駅から徒歩3分の立地にオープンした。
自家製の米麺ブンを使った麺料理を中心に、アジア総菜、自然派ワインを提供。店主の白井瑛里は「学芸大学の店以上にカジュアルにお楽しみいただけると思います」と語る。
白井は、もともとは「ただのベトナム好きな人」と自らを称す。ベトナム料理も大好きだが、「現地では化学調味料が入ったものが多く、毎日食べると疲れてしまうんです」と、無添加無化調にこだわる。また、無添加無化調で作ることにより、「素材の味を生かしたい」と力を込める。
米の新しい消費形態をもっと広め、年々消費が減少している日本の米需要を喚起していきたいという思いから、スタンドバインミーでは、新潟県の米を使った麺を主体とした料理を提供している。
「唯一、ブンだけは国産のお米を使ったおいしい麺を探すことができず、ベトナムのものを使っていました。それならば、自分で作ってしまおうと思ったのです」
そこで製麺機を購入。大学や米の研究機関などの論文をリサーチし、配合と製麺方法、ゆで時間、つなぎの添加物も一切使用していない米麺を数100種類試作した。こうして自家製のブンを開発し、「スタンドボブン」のオープンに至ったという。
製麺機は「実はおそば屋さんが使っているものです(笑)」。これを使い、新潟県産の米と北海道産の馬鈴薯(ばれいしょ)をブレンドし、毎朝、店で製麺している。「現地のブンは柔らかいものが主流ですが、コシが好きな日本人もおいしく召し上がっていただけるよう、ツルシコな麺にしています」
改めて解説しておくと、フォーもブンも同じ米麺だが、形状も食感も異なる。フォーは米を溶いて糊化した液体をクレープ状に蒸し、細くカットして作る。ブンは、溶いた米粉を型に入れ、ところてんの要領で押し出して作る丸くて白い繊維状の麺だ。
現在、スタンドボブンでは、このブンを使った、6種類の麺料理を提供。汁麺が2つ、合え麺が4つラインアップしている。店名にもなっている「ボブン」(1,650円、以下全て税込み)は、ベトナムではなく、パリで一般化している料理。米麺の上に、甘くソテーした牛肉とライスペーパーで巻いた揚げ春巻きを乗せたものだ。撮影後、慌てて食べようと思ったら、「これは伸びないので、ゆっくり食べていただいて大丈夫ですよ」とアドバイスをもらった。スイートチリベースのたれをかけ、「わしゃわしゃと」混ぜて食べるのがおすすめだそう。
「ブンリュウクア」(1,650円)は、鶏ガラベースのスープにカニのだしを溶け込ませ、さらにトマトの酸味を加えたカニだしの汁麺。スープの赤色はパプリカから取っている。
「からくなく優しい、ちょっとイタリアを感じる味わいで、お子さまにも喜んで食べていただいています」。卓上に用意されている唐辛子酢を加えると、「味変で酸辣湯(サンラータン)っぽい味わいになって、1杯で2度おいしくいただけますよ」
甘酸っぱい自家製のタマリンドソースを絡めた中華系タイ料理「茹で揚げ卵タマリンドソース(カイルーククーイ)」(3個、990円)など、ショーケースにはベトナムを中心に数々のアジアの総菜が並び、今後もバリエーションを増やしていく予定だ。総菜は全て麺にトッピングでき、単品で持ち帰る人も多いという。
なお、ワインは学芸大学のスタンドバインミー同様、フランス産のナチュラルワインのみに限定。「無化調なので、ほかの国のワインだと強過ぎてしまい、合わないんです」
ベトナム現地の再現ではなく、ここでしか味わうことのできない、現地以上においしいベトナム料理をコンセプトに掲げる同店のコンセプトは「NOT VIETNAMESE, BUT VIETNAMESE」だ。祐天寺に「唯一無二のやさしいブン」を食べに行こう。
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