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スペイン政府が国内線の一部短距離フライトの運行を規制へ

フランスと同様の取り組み、航空排出量の削減のため

Liv Kelly
テキスト:
Liv Kelly
翻訳::
Time Out Tokyo Editors
Vueling
Photograph: iStock-Vueling
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「持続可能な旅」を意識するとき、飛行機の利用を減らすことは、旅行者ができる最も効果のある個人的選択の一つである。しかし、特に便利で安い短距離フライトは利用する人が多い。そうした状況下で、人々が正しい方向へ向かうためにはある種の「後押し」が必要だ。

だからこそ、スペイン政府はフランスに続いて短距離フライトを規制し、国の排出量を抑制しよう提案しているのだろう。

同国政府が規制しようとしているのは、2時間半以下の代替鉄道ルートのある国内線の短距離フライトで、国際線ハブ空港への路線は除外となる。この基準値は提案のドラフトでは「4時間半以下」とされていたが、少し短くなった。

ドラフト案で土台となった、環境保護団体のEcologistas en Acciónによる調査では、4時間以内の列車による代替が可能な短距離フライトを廃止すれば、年間30万トンの二酸化炭素(CO2)排出量を削減できることが分かったという。例えば、11の航空路線を鉄道に置き換えるだけでも、スペイン内の航空排出量をなんと10%も削減できるそうだ。

Euronewsによれば、この規制措置は、連立政権による合意後に実施される予定だという。さらに短距離フライトだけではなく、プライベートジェット機の使用やケロシンなどの航空燃料としての利用についても、規制される可能性がある。

ただ、規制に成功した短距離フライトが3路線だけだったフランスの取り組みと同様、この措置の影響は限定的なものになりそうだ。Ecologistas en Acciónは、この措置を「単に象徴的なもの」と表現している。

ヨーロッパで短距離フライトが完全に禁止になる日はそう近くはないのだろう。今以上の制限をする前に、全土における鉄道の旅を大幅に改善することだ必要だからだ。ただ、スペインのように新しい高速鉄道が導入される動きもある。

タイムアウトでは、2024年に運行を開始した真新しい寝台列車から高速鉄道まで、ヨーロッパの鉄道旅行ルネッサンスについて幅広く取り上げてきた。ドイツ、ポルトガル、フランスのように、多くのヨーロッパの国々では、得する月決めパスを発売するなど、鉄道での旅行をよりリーズナブルにするための施策が実施されている。フランスでは短距離フライトだけではなく「超」格安航空券の禁止も提案しており、「フライトフリー」の時代に徐々に近づいているのは間違いないようだ。

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