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ニューヨーク市のナイトライフ諮問委員会(NAB)は、2021年7月19日に公開した最新のナイトライフレポートの中で、「バーやクラブを超えたナイトライフ 」という提言を発表した。
諮問委員会はこの中で、公共図書館など、市所有の建物を時間外にリハーサルやパフォーマンスのためのスペースとして開放し、街のナイトライフをより豊かで変化に富んだものにしていくことを提案。その一環として、個人レベルで公園に集まり、(現在は公共の場では原則条例違反となる)飲酒やダンスを楽しむことを許可するというアイデアも盛り込まれている。
レポートでは「ニューヨーカーには、あらゆる種類のナイトライフを楽しむための手頃な選択肢が必要です。ほとんどの国際都市では、人々は広場や公園に気軽に集まり、友人と酒を飲み、即興演奏のリズムに合わせて踊ることができます。公共の場での飲酒、街で踊ることは、規制はされるべきですが、禁止されるべきではありません」と提言の意図が説明されている。
NABの会長であり、ニューヨーク市ホスピタリティ・アライアンスのエグゼクティブディレクターでもあるアンドリュー・リジーは、この提言を最初に報じたニューヨークポスト紙に対し、これ実現すれば、生活の質を高められるかもしれないと、次のように語っている。
「これはパンデミック前に策定された15の重要な提言のうちの一つです。酒を飲みながら交流したり、ダンスをしたり、文化的なプログラムを行うことができる公共スペースを決めて、適切に運用すれば、生活の質を向上させ、観光客を誘致することができると思います。検討する価値があるでしょう」
こうした動きに対し、ニューヨーク市長であるビル・デブラシオのスポークスマンは、ニューヨークポスト紙に、市長と市議会は報告書と提言の検討はするが、この提言自体は市ではなく、ナイトライフ諮問委員会のものであると、完全に賛成できない立場を明確にしている。
この背景にあるのが、最近のワシントン・スクエア公園における飲酒や乱暴なパーティーの多発だ。ニューヨーク・ポストが、公園での飲酒合法化についてワシントン・スクエア公園の周辺住民にインタビューしたところ、ほとんどの人がNABによる提言を嫌っていたという。
公園に隣接するMeylan社ビルのドアマン、アル・ロサリオは、「良い音楽やエンターテインメントがあっても、彼らは一度飲むとずっとその場所にいて、やめようともしない。コントロールするのはとても難しいんだ」と語っている。
市長側は提言に対し、ダンスは許容する意向だが、飲酒には反発している。ニューヨークの公園における飲酒の合法化が実現するかは不透明だが、今後の展開を見守っていきたい。
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