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空港の喧騒(けんそう)を抜けて自分の席に座ったはいいが、しばらくして前の座席が突然、いや必然的に自分の方に迫ってきて、頭にぶつかりそうになる……。旅の始まりでこれほどイライラすることはないだろう。
ありがたいことに、そんなストレスなことが起こるフライトがもうすぐなくなるかもしれない。というのも、多くの航空会社がリクライニングシートの数を減らしている、あるいは完全に廃止しているからだ。
アイルランドの格安航空会社であるライアンエアーがリクライニングシートを廃止したのは2004年。ほかの格安航空会社のみならず、長距離航空会社でもそれに追随するところが出てきている。
しかし、例えばそうした航空会社の夜行便に乗るときに、背筋を真っすぐに伸ばして眠らなけれならないのかというと、そういうわけでもない。実際にはリクライニング機能の代わりに、背もたれの角度が直立とリクライニングした状態の中間に固定されている「プレリクライニング」になっているシートが多いのだ。
オーストラリア・カイロプラクターズ協会の会長であるアンドリュー・ローレンスによると、 プレリクライニングシートでは、座っているときの姿勢や睡眠中の快適さが向上するだけでなく、座席のデザインがシンプルになることで航空機の重量が軽くなり、燃料の消費量も減るという。これは、なかなかいい話ではなかろうか?
イギリスの格安航空会社Jet2.comは、2009年にアクロ社がデザインするプレリクライニングシートを導入し始めた。ブリティッシュ・エアウェイズでも4時間未満のフライトには、同様のシートを採用する傾向にある。デルタ航空は2019年、ユナイテッド航空、アメリカン航空、サウスウエスト航空と同様に、リクライニング機能を2インチ(約5センチメートル)へと半減。フィンランド航空は角度調整できない新しいビジネスクラスシートまで発表している。
しかし、かなり大幅に削減されるとはいえ、長距離路線からリクライニング機能がすぐに、完全になくなることはないだろう。
今度飛行機に乗るときは、ゆっくり座ってフライトを楽しみ、イギリスのタブロイド紙であるザ・サンが伝えているように、リクライニングシートで誰かの夕食をひっくり返したり、ノートパソコンを壊したり、鼻をへし折ったり、けんかを起こしたりしないように気をつけよう。
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