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ハローキティからマイメロディ、ポムポムプリンをはじめとする、たくさんのキャラクターたち。大人から子どもまで、老若男女問わず実に幅広い世代をとりこにしてきたファンシーグッズを手がけてきたサンリオの文化をひもとく展示が、2021年9月17日から六本木の東京シティビューでスタートした。
愛知、大分に続く本展は、サンリオ史上最大規模の展覧会となっている。
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サンリオ史上最大規模の展覧会
会場を訪れた人々を出迎えるのは、増田セバスチャンによるアート作品『Unforgettable Tower』だ。パステルカラーの渦巻くタワーを間近でよく見ると、ハローキティやマイメロディをはじめとするサンリオキャラクターのぬいぐるみが積み上がっていることが分かる。まさに、サンリオが積み重ねてきた長い「カワイイ」の歴史が具現化したかのようだ。
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本展には、サンリオ史上最多となる800点以上のキャラクター商品や、貴重な原画と資料が六本木に集まった。 どのようにオリジナルキャラクターが誕生し、独自の「ファンシー文化」が形成されていったのかが、ラフ画や現存するグッズ、パネル展示によって余すところなく伝えられている。
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その始まりは、高度経済成長期が始まった1960年。サンリオの前身である「山梨シルクセンター」がグリーティンググッズを扱い始めた頃までさかのぼる。レトロで懐かしさのある貴重なグッズの数々は、今見ても「カワイイ!」と思えるものばかりだ。時代の流れに合わせながら少しずつタッチを変え、工夫を凝らしながら、デザインの流行を築き上げているところにも注目したい。
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ハローキティブームに仕組まれた「革命」の真相
サンリオはただファンシーなキャラクターグッズを生み出すだけの企業ではない。メディアを通し独自の「コミュニティー」を築きあげたことも、重要な功績の一つである。 絵本作家、やなせたかしの編集した雑誌『詩とメルヘン』や手塚治虫の名作『ユニコ』を連載した少女漫画雑誌『リリカ』など、サンリオは定期刊行物の出版事業も手がけてきた。
その中でも広い世代から支持を得ているのは、1975年に創刊され、最盛期には35万部を発行した月間機関紙『いちご新聞』。展覧会の中には歴代の『いちご新聞』を壁一面に展示したエリアがあり、いかにサンリオが自社の目指す「カワイイ」を発信し、読者のコミュニティーを作り出してきたかが分かる。
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また、雑誌のテーマも「恋愛」や「友情」、そして「いじめ問題」など、サンリオがターゲットとする世代の悩みに寄り添ったものがうかがえる。雑誌の一部が読める展示パネルも掲示されているので、じっくり読んでほしい。
大人が「カワイイ」を好きでいていい
そして、ファンにとってまさに垂ぜんモノの展示物が並ぶのは、ハローキティに焦点を当てたコーナー。世界中で大人気スターになったハローキティが、どのように地位を確立していったのかを、時代背景とともに紹介。ハローキティのブームを通じ「なぜサンリオキャラクターが長く愛されているのか」が明らかになる。
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「カワイイ(Kawaii)」が世界共通言語として広まりつつある中、「カワイイ」に向き合い続けたサンリオの功績は大きい。サンリオは60年間、時に社会の固定概念を覆しながら新しいマーケットを広げ、生き残り続けた。今回の展示は、サンリオが向き合ってきたしたたかな「カワイイ」を、見た目・デザインだけではなく、戦略や価値観、コミュニティー形成など、あらゆる角度から考察できる。
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会場では、サンリオオリジナルグッズのほか、限定アイテムなども多数取りそろえている。 また、東京シティビュー同フロアにあるカフェでは、サンリオキャラクターをイメージしたフードとドリンクメニューも用意。五感を通して「カワイイ」を堪能してほしい。会期は2022年1月10日(月・祝)まで。
テキスト:高木望
『サンリオ展 ニッポンのカワイイ文化60年史』の詳細はこちら
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