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ロンドン市長であるサディク・カーンは、2021年5月6日(木)に控える市長選挙で再選した場合、ロンドンにおける成人向け娯楽用大麻の合法化を再度検討することを発表した。選挙戦で注目を集めるのが狙いと見られている。
市長の案は、独立した薬物委員会を設立し、合法化の賛否を検討、その結果をイギリス政府などに提案するというもの。そのほかにも、A級薬物(コカイン、MDMA、ヘロイン、LSDなど)の非犯罪化を提案に盛り込まないことも明言。カーン陣営の関係者は、「委員会が根拠を検討することになるが、公衆衛生とロンドン市民の安全のために何がベストかという観点から、あらゆることを議論のテーブルに乗せる」と語っている。
何十年にもわたって繰り広げられてきたこの議論を、夏に向けロンドンの街が再開するタイミングで改めて提起するのは、挑発的なジェスチャーだと言えるだろう。しかし、おそらくそれがカーンの狙いなのだ。ロックダウンを経験したこの1年、さまざまなことに対する人々の考え方は変わった。だからこそ今は、ほかの薬物とは性質が異なる大麻について、改めて考える絶好の機会なのかもしれない。
これまで、デリバリー、持ち帰り、ボトル入のカクテル、パブの営業再開日など、酒にまつわるさまざまな話題を紹介してきたが、飲酒にはマイナス面もある。また、大麻の非犯罪化は都市に多くの税収をもたらす可能性は否定できない。さらには、1年間の強制的な隔離の後、人々が精神的に脆弱(ぜいじゃく)であるという懸念が提起されており、ロンドンの人々の中には、おびえたりや不安を感じている人もいるという状況もある。
もし、ロンドンが一方的に公共の場での大麻使用を合法化したら、実際にどうなるかは誰にも分からない。今ロンドンで施行されている排ガス規制である、超低排出ゾーン(Ultra Low Emission Zone)の大麻版「超ハイ排出ゾーン」が誕生し、その内側では思う存分使用可能だが、外では罰金、ということにでもなるのだろうか。
まぁ、(ゾーンができたとしても、その内側となる)ロンドンの人たちにとっては、関係ない問題かもしれない。
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