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国際環境NGOグリーンピース・ジャパンが発表した報告書によると、国内のカフェ業界で消費されている使い捨てカップは8.7〜9.3億個。そのほとんどが焼却か埋め立てされているという。
そんな中、丸の内のスターバックス10店舗で、LINEアプリを介して「カップを借りて返せる」という循環型プログラム実証実験が2021年11月22日からスタートした。この仕組みは容器のリユースサービス『リーアンドゴー(Re&Go)』を活用して実施。マイカップやマイボトルに次ぐ新たなライフスタイルになるのか注目している人も多いだろう。
同サービスだけでなく、近年、画期的な循環型のサービスが相次いでローンチされている。ここでは、2021年以降にスタートしたリユース容器のシェアリングサービスの中でも、首都圏で体験できるものを3つ紹介しよう。
1. レンタルカップがスタンダードな街に行く。
繰り返し使える共通のテイクアウトカップを、近隣のコーヒーショップや飲食店で循環利用する取り組みが、10月から始まっていることを知ってるだろうか。この『カプレス(CUPLES)』は、日本のスペシャルティコーヒーカルチャーをけん引するカフェ、目黒のオニバスコーヒー(ONIBUS COFFEE)がスタートさせたもの。
サービス形態は『リーアンドゴー』とほぼ同じで、『カプレス』のアプリに会員登録し、店舗で「QRコード」を読み込んでカップを借りて返却する。その後洗浄し、再利用される仕組みだ。容器は、およそ300回は繰り返して使えるポリプロピレン製のものを採用した。同サービスを通じて、使い捨てのコップの製造、廃棄時に出る二酸化炭素(CO2)を減らすことを目指している。
『リーアンドゴー』と大きく異なるのは、地域密着型の比較的インデペンデントな店で利用できるところ。オニバスコーヒー4店舗をはじめ、コーヒーを愛してやまない焙煎(ばいせん)士とバリスタが手がけるコーヒーライツ、個性的なグルメバーガーを提供するバーガーマニア各店など、街に溶け込み、愛されている店ばかり。11月末までに45店舗程度が参加するそう。
店員と話せる距離感の店が多いので、同サービスの理念や、利用してみて感じたことを直接シェアできるのも魅力だろう。
2. ランチはリユーステイクアウトを選ぶ。
テイクアウトする際にリユース容器で受け取り、参加店舗ならどこでも返却ができる地域共通型リユース容器シェアサービス『メグルー(Megloo)』。同サービスの実証実験が鎌倉で10月20日から実施中だ。
コロナ禍による外出自粛のため、飲食店からのテイクアウトやデリバリーが増加した。朝日新聞の報道によると、それに伴い、江東区や杉並区など11区のプラスチックごみは例年に比べ約13%増加したという。しかし、多くの人はプラスチック容器を使うことに罪悪感を感じている。
こうした背景から、社会課題を解決する新規事業の創出などを行うカマン社は同サービスを開発。プラスチックゴミを減らし、ユーザーの罪悪感を消し、飲食店側はリユース容器をシェアすることでコスト削減につながるという「三方良し」のサステナブルな街づくりを目指す。
利用方法は、『メグルー』のLINEで容器の貸し出しを選択し、対象店舗で「QRコード」を読み込んで借り、返却するというもの。その後店舗で洗浄し、再利用される。
容器は密閉性、保温性に優れたプラスチック製を採用。さまざまな素材を検討したが、軽量で電子レンジで温められる最も環境負荷が低いものは、現状プラスチックであるという結論に至ったそう。実験期間は12月17日(金)まで。朝食屋コバカバや、一軒家フレンチのビストロ オランジュなどが参加している。ゴミが出ないテイクアウトの爽快感を感じてみてほしい。
3. 日用消耗品は循環させる。
5月にイオングループの東京、神奈川、千葉エリア一部店舗およびネットスーパーで導入され、現在進行形で多くのメーカーの賛同を得ているリユース容器の循環型プラットフォームが、『ループ(Loop)』だ。
洗剤やシャンプーなどの日用消耗品、調味料などのメーカー品をステンレスやガラスなど耐久性の高いものに変えて販売。使い終わった容器に「QRコード」のシールを貼り、店頭設置の返却ボックスに入れると、容器代がループの公式アプリ経由で返金される。
同サービスは、グローバルに展開するソーシャルエンタープライズである米テラサイクルが開発。「捨てるという概念を捨てよう」というミッションのもとループ・ジャパンが2019年1月に発売以降、世界4カ国(アメリカ、フランス、イギリス、カナダ)で展開している。
一度試すと、従来の使い捨て容器に戻るには、路上にポイ捨てするかのような罪悪感に苛まれるだろう。地球環境のための循環サイクルを生活に取り入れてみては。
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