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東中野エリアに1936年から店を構える老舗銭湯、松本湯が2021年8月1日にリニューアルオープンした。改修に当たって支援を募ったクラウドファンディングでは、わずか1日で目標金額の300万円に到達。その後も第2目標の600万円を見事に達成し、地元の人々はもちろん、サウナーの注目も集める大改修プロジェクトとなった。
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同銭湯の3代目店主であり、中野区浴場組合の組合長でもある松本元伸は「銭湯文化を盛り上げたい」という思いのもと、リニューアルを実施。自慢のサウナや水風呂をはじめ、細部まで妥協なくこだわり抜いた浴場を実現している。
「ストーンドライサウナ」には、フィンランド製サウナストーブとオートロウリュを設置。オートロウリュによって熱したサウナストーンに水が注がれることでマイナスイオンを含んだ蒸気が発生する仕組みだ。「これを浴びることで疲労回復が期待できます」と松本。男湯はより快適に利用できるように、以前よりも広くなっている。
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さらに女湯限定で、バドガシュタイン鉱石と富士山の溶岩を練り合わせて作ったタイルが座面に使われている「スチームサウナ」を完備。鉱石が発する遠赤外線熱が体内に浸透することで、気になる症状や傷を改善に導いてくれる。また、体の芯まで温まることにこだわり、座面と足元の両方から熱を発生させるシステムを導入した。日本の銭湯では初の試みなので、ほかでは味わえないサウナ体験ができるだろう。
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サウナで汗をかいた後に欠かせないのが水風呂だが、ここにも独特のこだわりがある。水風呂は冷た過ぎて入れないという人向けに25~30度のぬるい水風呂と15〜17度の冷たい水風呂の2種類を用意。「ぬるい水風呂には血行促進効果やリラックス効果を高める気泡が含まれているので、サウナ→水風呂→ぬるい水風呂→休憩を繰り返すことで、いつも以上に『ととのう』体感ができるはずです」。(松本)
水風呂の浴槽はその深さも特徴的だ。全身でつかる爽快感を感じさせるために、男湯は150センチ、女湯は135センチとあえて首まですっぽりつかる深さに設計されている。
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このほかにも、ハーブや漢方を日替わりで楽しめる「薬草風呂」、マッサージ効果のある高圧シャワーを体験できる「ジュビナバス」、「座風呂」「寝風呂」など個性豊かな風呂がラインアップしている。新設した電気風呂には特に力を入れたそう。「4種類の異なる低周波が交互に流れる仕組みで、ビリビリと心地よい刺激が筋肉のコリをほぐしてくれますよ」と松本は胸を張る。
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休憩をする時は、浴場の入り口付近にある「休憩スペース」に行こう。頭上のファンから吹く清涼感あふれる風を浴びれば、畳の上にいながら外気浴気分でリラックスできる。入浴後は、ふかふかのクッションが置かれた和モダンな空間でゆったりとくつろげる点も見逃せない。壁には先代の銭湯から代々受け継がれているステンドグラスが設置されており、歴史を感じるデザインが異彩を放っている。
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同銭湯のマスコット的存在である「かめきち」をモチーフにした、サウナハットやステッカーなどの新しいオリジナルグッズにも力を入れている。ぜひチェックしてみてほしい。エントランスの水槽にはモデルとなったスッポンモドキの「かめきち」も泳いでいるので、あいさつするのも忘れずに。
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松本にこれからの展望を聞くと、「日頃の疲れを洗い流す憩いの場として、今後も地域に長く愛される存在であり続けたいですね。いい店がたくさんあるので、銭湯の後に周辺の飲食店で腹ごしらえするもおすすめです。周辺の銭湯はもちろん、近隣の店舗と循環し合いながら街全体を盛り上げていけたら」と語った。銭湯文化と同時に東中野の街を活気づける鍵となる松本湯に、これからも目が離せない。
テキスト:中村友美
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