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日本は、同性婚法やLGBT差別禁止法などのLGBTQ+に関する法律がいまだ十分ではない。クィア(*1)がアイデンティティーを表明し、自己表現できる場が少ない中、クィアコミュニティーを祝福する「東京レインボープライド」の開催は、社会に大きなインパクトを与えるだろう。
日本初の「プライドパレード」は1994年に開催された。2000年に開かれた「東京レズビアン&ゲイパレード2000」の参加者は約2000人。徐々に規模が拡大し、2019年の「東京レインボープライド」は、総動員数20万4000人まで増加した(*2)。企業や団体も参加し、支援を表明する動きも見られ、かつて語られることのなかったクィアコミュニティーが、少しずつ表に出てきていると考えられる。
このことをポジティブに捉える人がいる一方で、本来の目的から脱線した商業化の側面が行き過ぎてしまっているという意見もある。レインボーカラーのグッズを販売したり、企業の広告を打ち出したりなどコミュニティーに貢献しているようで、実は「ピンクウォッシング」(*3)であったケースも増えている。
現状は、異性愛、シスジェンダー(*4)が主体となる社会で、少数派であるクィアの言葉は抹消されやすい。クィアの立ちはだかる問題を解決するには、クィアの声を届ける必要がある。だが、声が届くためには受け取り側がいなければならない。つまり、当事者だけでなく皆が一緒に考える問題なのだ。
シリーズ「SEX:私の場合」では、性を「枠」ではなく「個人」としてフォーカスし、誰もが持つ「さが」として捉える。今回は、クィアたちの声を届けるための企画「QUEER VOICE」を始動する。
「QUEER VOICE」のアンケート回答者を募集
連載「SEX:私の場合」で「QUEER VOICE」の回答を募集。アンケートの回答はプライドウィーク期間中の掲載を予定。以下の概要を確認の上、回答フォームから応募してほしい。
掲載記事:Time Out 連載「SEX:私の場合」
応募要件:クィア(セクシュアルマイノリティー、LGBTQ+)を自認する人
回答期間:2023年4月9日(日)まで
アンケート応募フォーム
(*1)「クィア」とは、19世紀の英語圏でゲイを侮辱的に表現する「奇妙な」「変態」といった意味を持つ。当事者が自らをクィアと名乗ることで、開き直った姿勢を示し、ポジティブな言葉として変換された歴史がある。本記事では、クィアコミュニティーにおける歴史的背景を踏まえた上で、クィアを単なる性的マイノリティーではなく、「連帯」という意味合いを含んで示している。また、性的マイノリティーという属性をわかりやすく示すために「LGBTQ+」の単語を使用する場合もある。
(*2)「東京レインボープライド『ABOUT PRIDEPARADE』」「東京レインボープライド 2019年度 年間活動報告」
(*3)企業や団体が、LGBTQ+コミュニティーへの支援を示す姿勢を持つかのように見せかけ、商業的に消費することを「ピンクウォッシング」という。
(*4)一般的に、生まれた時に割り当てられた性と自認する性が一致する人のことを意味する。
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