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「麻布台ヒルズギャラリー」で、2024年11月1日(金)から 2025年2月2日(日)まで、「ポケモン×工芸展-美とわざの大発見-」が開催される。これまでもポケモンは、ヴァン・ゴッホや現代アーティストのダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)といったアート界とのコラボレーションで人々を楽しませてきた。本展では、伝統工芸とポケモンという意外な組み合わせに期待が高まる。
本展は、2023年に石川県の「国立工芸館」で初開催された後、米国の日本文発信拠点「ジャパン ハウス ロサンゼルス(JAPAN HOUSE Los Angeles)」などを巡回し、多くの反響を呼んだ。これまでの展示では、約70点の作品が紹介されていたが、今回の東京開催では初公開の新作も加わり、出品数は約80点に拡大した。
今回は新たに、吉田泰一郎による全長約2メートルの実物大『ミュウツー』の彫刻をはじめ、優美な文様で飾られた植葉香澄の『蔦唐草文ジュペッタ』などが加わった。さらに、ピカチュウをモチーフにした桑田卓郎の陶器のインスタレーションには、新たな要素が加わり、従来の2倍のボリュームで登場する。
会場は3部構成となっている。第1部「すがた 〜迫る!〜」では、高度な工芸技術によってポケモンの存在感をリアルに引き出した作品が展示。第2部「ものがたり 〜浸る!〜」は、ゲームを通じて表現されたポケモンの世界観に浸れる作品が並ぶ。第3部「くらし 〜愛でる!〜」では、器や着物などの生活アイテムにポケモンが登場したかのような作品を楽しむことができる。
ポケモン世代ならではの表現
出品作家は、ベテランから若手までの20人。その多くが1997年のアニメ放送をきっかけに広がった「ポケモン旋風」真っ只中で育った30〜40代の作家だ。子どもたちの間で社会現象となったポケモンカルチャーに直に触れ、キャラクターの特性を熟知している作家たちだからこそ、それぞれの個性を最適な手法で引き立している。
江戸小紋作家の小宮康義もその一人。大学卒業後に父である3代目康正に師事し、職人の道に進んだ。現在は4代目として家業を継ぎ、「トランプ柄」など斬新なデザインを取り入れた作品を精力的に制作している。
小宮は、遠目から見ると無地に見えるほど細かい柄が描かれている江戸小紋の特徴を活かし、「ゴーストタイプ」のキャラクター、ゲンガーとゴーストを柄の中に巧妙に忍ばせた。細かいゆえに遠目で見ると曖昧模糊としている江戸小紋が、キャラクターの怪しげな個性と絶妙にマッチし、生き生きとした表現になっている。
展示作品は、単なるキャラクターの再現を超えている。作家たちは世界中の人々を惹きつけるポケモンの魅力をさらに引き出そうと試み、その情熱が作品のクオリティーを一層高めているのだろう。どの作品も、作家が楽しみながら意欲的に制作したことが伝わる新鮮な表現にあふれており、瑞々しさが感じられるのが印象的だ。
多様な技とポケモンが起こすかがく反応
使用されている技法は、七宝・彫金・象嵌(ぞうがん)・自在・有田焼・紅型・螺鈿・可変金物・信楽焼・江戸小紋・漆などさまざま。これらの多彩な技法とポケモンが組み合わさり、互いの魅力を引き出す。
例えば、素朴な風合いと温かみ、赤みがかった色合いや黒い焦げなど、土と火が織り成す風合いが特徴の信楽焼で表現された桝本佳子の「ほのおタイプ」のポケモンたちは、その個性と素材が見事に調和している。
限定グッズをゲットしよう
グッズコーナーにも忘れずに立ち寄ってほしい。日本の伝統柄「工字つなぎ」の着物を着たピカチュウのぬいぐるみのほか、ポケモンがデザインされた豆皿、レース編みのピカチュウなどが購入できる。さらに、図録には作家たちの制作現場などが収められ、充実した内容だ。
さらに「麻布台ヒルズギャラリーカフェ」では、本展の作品にインスパイアされたコラボレーションカフェ『喫茶 ポケモン×工芸展』が期間限定でオープンし、特別メニューが楽しめる。
ポケモンを入り口に、日本の伝統工芸を再発見できる本展、異色の融合から生まれる新しい美の形に驚くだろう。
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