[title]
東京駅八重洲口を出てすぐ、外堀通り沿いにある「八重洲ブックセンター本店」が、2023年3月31日、所在地を含む街区の再開発計画のため、44年の歴史に幕を下ろした。2028年に同じ場所に完成予定の高層複合ビルへの出店を計画しており、一時的な閉店となる予定だ。
同店は地下1階から8階の全9フロア展開。コミックや児童書、古書、文庫本をはじめ、100万冊をそろえる。本好きなら、一日中でも過ごせてしまう大型書店だ。ここでは、同店の最終営業日の様子を記録する。
入り口付近には人だかりができ、入場制限も実施。レジに並ぶ列は外の駐車場まで続いていた。書店とは思えないほどにぎわう光景に、いかに多くの人に愛され続けてきたかが分かる。
入ってすぐの柱には、作家から複数のメッセージが書き込まれている。2階にはメッセージカードを書くスペースが設けられ、長年通った思い出などみなが思いのたけをつづっていた。
20時に営業が終了。その後、正面玄関前のスペースで閉店のセレモニーが行われた。無告知での開催にもかかわらず、多くのファンが集まった。公式キャラクターの「やえちゃん」も登場し、和やかな雰囲気でスタートを切った。
初めに同店店長の木本高広が営業を支えてくれた客や人々へ謝辞を述べた。作家の東野圭吾からも「私にとって、未知の世界とつながる異空間であり、アイデアの発掘現場でもありました」とメッセージが寄せられた。
同じく作家の北方謙三は登壇し、挨拶。「八重洲ブックセンターで初めて自分の本を買いました。そんな思い出の詰まった店がしばらく休業するのは悲しいが、次はどんな書店になるのか楽しみです」と、新たな姿に生まれ変わる同店への期待感を露わにした。
最後に、八重洲ブックセンター代表取締役社長の山﨑厚男が、「多くの皆様方に支えられた44年間でした。これからも変わることなく活躍し、続いていくと確信しております。本をしっかり売るということを主軸にしながら、さまざまな新しい機能を付け加えて、素晴らしい出合いを創造する店舗にしていきたい」と話した。
20時40分。沿道に集まる多くの人に見届けられながら、その歴史に幕を下ろした。2028年、老舗の新たな拠点がどのように変貌を遂げるのか、今から期待が募る。
関連記事
東京の最新情報をタイムアウト東京のメールマガジンでチェックしよう。登録はこちら