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1967年11月に渋谷で誕生した「東急百貨店 本店」。東急グループの再開発に伴い、2023年1月31日、55年の歴史に幕を下ろした。開業以来、多くの人を楽しませてきた同店の最終日をここに記録する。
5階の雑貨売り場には、婦人服飾雑貨やスポーツ用品、宝石店など62ショップが入居。1月2日から行われている閉店特別セール「GRAND FINAL SALE」が展開されており、大勢の買い物客でごった返していた。
客の一人に話を聞くと、「今日はハンカチを買いに来ました。子どもの頃から両親と訪れていたので、思い出がたくさん詰まっています。顔馴染みの店員さんもいたので、寂しい気持ちです」と通った日々に思いを馳せながら話してくれた。
地下1階のグルメ・フードが集まる食品街「ザ マーケットプラス」は、通常の4〜5倍ほどの買いもの客が詰めかけた。中でも、1990年に本格的なセラーを導入し、ワインブームをけん引してきたワイン売り場「ザ ワイン(THE WINE)」には大勢の人が訪れ、空の棚が目立った。
同ワインショップは、3月10日(金)に近隣で路面店を移転オープンすることが決まっている。食料品統括マネジャーの川口淳は「室温・湿度の管理が行き届いていることから、質の高い繊細なワインが飲めると愛好家が集う場所として機能してきました。そのため、食品エリアの中でも特に閉店を惜しむ声が多く、そんな皆さまの思いから移転が決定しました」と移転のいきさつを語る。
17時30分になると1階の正面口に音楽が響き、これまでの感謝を込めてスタッフから来場者に花が渡される「フラワーライングリーティング」が行われた。さまざまな種類のドライフラワーが用意され、館内に「ありがとう」という言葉とともに笑顔があふれた。
東急百貨店本店の店長である稲葉満宏は「営業終了に向け、『THANK&LINK』というテーマを設定いたしました。『THANK』には感謝の気持ちを、『LINK』には皆さまとの絆をこれからも大切にし、渋谷の未来をつなげていきたいという思いを込めました。この店でお客さまをお迎えした55年間、多くの素晴らしい出会いに恵まれたことに感謝申し上げます」と最後のあいさつを告げる。
19時、正面口のシャッターが閉まり、55年の歴史に幕を降ろした。
東急本店の跡地には、東急、東急百貨店、LVMHグループによる再開発計画「渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト(Shibuya Upper West Project)」が進められており、2027年には地上36階・地下4階建ての高層複合施設が建設される予定だ。
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