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生と性の多様性とセクシュアルマイノリティー(LGBTQ+)の人々への理解を促す「東京レインボープライド2024」(以下、TRP2024)が、2024年4月20日(土)に続き、21日(日)に開催された。当初3日間の予定だったが、初日は天候不良のため開催中止となったものの、主催者発表によると2日間の延べ動員数は約27万人と、2023年の約24万人を超える大盛況となった。
60梯団・約1万5000人による過去最大のプライドパレード
最終日となる21日に行われたパレードも、昨年の39梯団(ていだん)を大幅に上回る60梯団が参加。過去最大となる約1万5000人が渋谷の街を七色に染め上げた。本記事では大きなにぎわいを見せたパレードの様子をレポートする。
子どもから外国出身者まで、多様な人々が「ハッピープライド」の一言でつながる
梯団の中には小さな子どもをベビーカーに乗せて、行進する人も多かった。「ハッピープライド!」と沿道に向かって声を張り上げると、それまで静かに見守っていた沿道の人たちもそれに答えるように、「ハッピープライド」と言葉を返していた。
小学2年生の子どもと共に親子で初めてTRPを訪れた人は、会場の熱気と明るい雰囲気を楽しむとともに、外国人の多さにも驚いたという。住んでいるエリアには外国人は少なく、我が子に、さまざまな人たちの活気ある姿を見せられたと満足げに語った。
たまたま並走するようにゴミ拾いをしていた男性に話を聞くと、初めて目にしたプライドパレードの華やかさに圧倒されたと語りつつも、「これほど多くのLGBTQ+やアライ(ally=仲間や同盟を語源とするLGBTQ+当事者の支援者)の人がいるんですね」と、素直な実感を教えてくれた。
「トランスに生まれてよかった」と高らかに宣言
自らを「セクシャリティ迷子」と称し、毎年異なる梯団でTRPに参加しているダンサーで歌手の日出郎は、東京トランスマーチの「フロート」と呼ばれる先導車で赤い衣装に身を包み、マイクパフォーマンスを行った。 フロートに乗るドラァグクィーンとともに「トランスに生まれてよかった」と高らかに宣言。事前に言葉を決めていたわけではなく、「仲間たちに囲まれながら、沿道の人たちの声援を聞いていたら自然に出てきました」と言う。
「公益社団法人Marriage For All Japan -結婚の自由をすべての人に」の梯団で行進していた衆議院議員の細野豪志は、「TRPには10回以上来ています」と話す。「なかでも今年は節目の年だと感じているんです」。
それは、同性婚を巡る各地の裁判で違憲の判決が相次いで下されたことや、2023年10月には、トランスジェンダーが戸籍上の性別を変えるのに、生殖能力を失わせる手術を必要とする「性同一性障害特例法」の要件、いわゆる「手術要件」が最高裁大法廷で問われ、「違憲」であると判断が下された。そんな社会の潮流の変化を受け、「永田町が一番古いかもしれない」と、政治もエネルギーを吸収していかなければならないと思いを語ってくれた。
沿道で振られた念願のレインボーフラッグ
鍼灸院の軒先から旗を振ってパレードを応援する人に声を掛けると、院長だと話してくれた。自身もノンバイナリーで「毎年TRPに参加したいと思いながら、機会がなかった。けれど、今年2月にこの場所に店がオープンしたことで、朝、TRPの会場で旗を買って、こうして仕事の合間に旗を振ってエールを送ることができました」と語る。
「どちらがパレードなの」と感じるほど華やかな沿道
毎年パレードに参加しているゆいは、今年の印象を「パレードと同じくらい沿道が華やか」と語る。梯団にエールを送る沿道の人も、メッセージボードや企業の旗、レインボーフラッグを振っていて、どっちがパレードなのかと感じるほどでした」。 「以前は見られる側と見ている側という印象だったけれど、今日は五分五分くらい。沿道の人も温かくて楽しかったです」と晴れやかな笑顔を見せた。
パレードの沿道から離れた渋谷駅周辺も至る所にレインボーフラッグが飾られ、街全体が七色に染まり、まるで性的マイノリティーの可視化や権利向上を後押ししているようだった。 同性婚、性同一性障害特例法など、まだまだ性的マイノリティーが生きる上での問題点は多々ある。しかし、今年掲げられたテーマの通り「変わるまで、あきらめない」の声と行進は、華やかに、力強くこれからも続いていくのだ。
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