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「20年後の私たちはどのように生きるのか?」という問いを持って2013年から開催している「都市とライフスタイルの未来を描く」議論をする国際会議『INNOVATIVE CITY FORUM 2021』が、今年も2021年11月22日(月)〜25日(木)に開催する。
先端技術や都市開発に携わる研究者や実務家のほか、作家、画家、映画監督、ラジオパーソナリティーなどジャンルレスに活躍する大宮エリーや、メディアアーティスト、DJなど多彩な顔を持つRhizomatiksの真鍋大度といったアートやクリエーティブに関わるデザイナー、アーティストなど世界中で活躍している40人が登壇。それぞれが描く未来の可能性を提案、共有し語り合う4日間。
2021年のテーマは「今、考える新しい未来」。キーノートスピーカーにフランスの歴史人口学者であり家族人類学者でもあるエマニュエル・トッドを迎え、パンデミック後の都市や社会のみならず、文化や芸術、観光などといった多様な観点から議論を展開していく。
22日〜24日のオンラインセッションでは、異なる企業や団体とコラボレーションすることで、同イベントだけではカバーできなかったテーマに挑み、参加者が持つさまざまな知見を広げ、かつ深く理解するという2つの要素の共存を目指す。25日には六本木アカデミーヒルズで分科会を開催(招待者限定)。全プログラムは日英同時翻訳され、無料でオンライン視聴ができる。また、専用のYouTubeチャンネルでアーカイブ視聴も可能だ。
ここでは、中でもグローバルな視点を持つタイムアウト東京の読者におすすめしたい5つのポイントを重点的に紹介する。
1. 賢人の未来予測に耳を傾ける。
キーノート
今回のキーノートスピーカーであるエマニュエル・トッドは、過去にも米トランプ政権誕生や英国の欧州連合(EU)離脱などの歴史的な出来事を的中させた、優れた先見の明を持つ学者だ。そんな賢人が膨大なデータをもとに広い視野から、これから起きることへの変化の兆しや未来世界の姿を語る。また、トッドによる30分の講演後には森美術館特別顧問の南條史生との対談も実施する。
25日(木)13時15分〜14時00分
2. 世界のダイバーシティマインドを身につける。
立命館アジア太平洋大学 (APU) × ICF2021 特別セッション『ダイバーシティ&インクルージョンが切り拓く日本の未来』
日本では、自国の組織や日本人だけで語られがちな「ダイバーシティ&インクルージョン」。そんなテーマを、立命館アジア太平洋大学(APU)国際経営学部 学部長を務めているライラーニ・L・アルカンタラがファシリテーターとなって、国境を越えて活躍している3人の卒業生と世界目線で議論するセッションだ。
APUは多文化多言語環境を築き、これまでに世界160を超える国、地域から留学生を受け入れてきた。「アジア太平洋の未来創造に貢献する有為の人材」へと成長することを目指し、現在も共に暮らし、学びを深めている。
スピーカーは、Global Partners Consulting Groupチーフマネジャーの泉美帆ほか3人。泉はシンガポール在住コンサルタントとして、海外ビジネスのノウハウや経験をシェアする講演活動、女性や次世代の国際化およびエンパワーメント活動も積極的に行っている。
そのほか、ウズベキスタン出身で現在は東京でヤンマーエネルギーシステムに勤務しているショハルフベック・イブラギモブ、enpact社のプログラムマネジャーであるシーラ・ダミア・プトリンダが登壇。学生時代から国際感覚を養ってきたメンバーが、世界基準の常識やマインドを提示していく。このセッションできっとグローバルな目線を獲得できるだろう。
23日(火・祝)19時00分〜20時30分
3. 観光新時代を先取りする。
タイムアウト東京 × ICF2021 特別セッション『観光新時代に必要なこと~ハピネス・民俗学・テックで編みなおす新たな物語とは~』
コロナ禍以降、その土地の住民自身が幸せに暮らしており、住んでいる土地に対する「セルフリスペクト」のある地域を訪れたいという旅行マインドがにぎわいを見せている。こうした背景をもとに『観光新時代に必要なこと~ハピネス・民俗学・テックで編みなおす新たな物語とは~』をテーマに新たな旅行について考えていく。
編集者やキュレーターなど、多様な顔を持つ塚田有那がファシリテーターを担い、4人のスピーカーと議論を深める。スピーカーは、テレビプロデューサーでありアソビジョン代表取締役の國友尚ら4人。
ローカルプロデューサーで遠野市観光協会理事も務めている富川岳は、『遠野物語』を研究しており、土着の妖怪文化などから観光を見つめ直していく。そのほか、富裕層を中心とした訪日外国人に日本が持つ魅力を発信、プロデュースしているTOKIの代表取締役である稲増佑子、タイムアウト東京の代表であり、ORIGINAL Inc. 代表取締役の伏谷博之も参加し、近々の変化と、アフターコロナにおける観光の在り方を示唆する。
24日(水)19時00分〜21時00分
4. デジタルアートは挑戦者から学ぶ。
分科会『信用の未来像~アートと市場と共感の新たな関係~』
アートは、未知の他者同士の共感に大きな役割を果たしてきた。ここでは、近年盛り上がりを見せているメディアアート、デジタルアート、NFTアート(Non-Fungible Token=非代替性トークン)といった仮想現実におけるアートフォームにおける、信用の源泉である相互理解や共感の在り方を議論する。
ファンドマネージャーとしてGO FUND, LLP代表パートナーを務めている小池藍がファシリテーターとなって、信用を支えるものは今後どう変わるのか、第一線で実践している3人と共に新たな価値尺度について考える。
登壇するのは、ゲーム会社gumiの創業者であり、現在はVRコンテンツサービスを提供し、トークンに支えられたファンコミュニティー形成の実装化を目指すThirdverse代表取締役の國光宏尚や、慶應義塾大学教授でありブロックチェーンの専門家である坂井豊貴、メディアアーティストで、Rhizomatiksの創立者である真鍋大度だ。真鍋は自身もNFTアートの販売などに挑戦しており、より具体的な議論が聞けるだろう。
25日(木)14時45分〜15時55分
5. 新たな観光は鳥の目で発見する。
分科会『観光の未来像~体験価値と消費の新たな関係~』
ARやVRなど仮想現実の出現、コロナ禍がもたらしたリモートワークやワーケーションといった新たなライフスタイルなどによって、観光の形そのものが変容してきている。ここでは、さまざまなダイナミズムによりこれまで体験価値として消費されてきた観光のあり方がどう変わるのかを考えていく。
ファシリテーターは、「タイムアウト東京 × ICF2021 特別セッション」と同じく塚田有那が務め、作家、画家の大宮エリー、APU太平洋学部副学部長の久保隆行、ハコスコ代表取締役社長のほか、デジタルハリウッド大学大学院卓越教授などの顔を持つ藤井直敬の3人が登壇する。
マクロな視点から見た産業構造としての観光業の変化や、脳科学者の見地で感動などといった側面からアプローチ。「タイムアウト東京 × ICF2021 特別セッション」よりも、さらに俯瞰(ふかん)した内容になる予定だ。大きな枠で観光を捉え直すには絶好の話が聞けるはず。
25日 16時10分〜17時20分
そのほか、「創造性を育む教育」という視点から未来の新たな学びの形を展望する『学びの未来像』にも注目したい。同セッションのファシリテーターは『進化思考』の著者であり、NOSIGNERの代表である太刀川英輔が務めている。また、「開発・成長とサステナビリティ」にフォーカスし「サステナブルで人々を幸福にする経済システム」について考える『経済の未来像』も重要なイシューだ。
22日には、科学技術振興機構 社会技術研究開発センター との特別セッション『科学と社会の対話の未来-情動優位時代に「合意形成」は可能なのか』も開催。直感的な反応によって「炎上」を繰り返すソーシャルメディアなどを背景に、「合意形成」の現代的意味を問い、科学と社会の対話を促していく。オープニング、クロージングを入れて全13のセッションが開かれる『INNOVATIVE CITY FORUM 2021』。20年後の世界で生きるための深さと広がりのある知見を身につけてみよう。
INNOVATIVE CITY FORUMの詳細情報はこちら
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