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イギリスのパブパスポート計画に反対が続出

首相がパブでのワクチン接種証明の活用を提案

Joe Mackertich
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Joe Mackertich
Editor-in-Chief, UK
Beer passport
Photo: Time Out
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2021年3月下旬、イギリス首相であるボリス・ジョンソンが、パブやバー、クラブなどの経営者が、客の入店時に新型コロナウイルスのワクチン接種証明を求めることができるようにするアイデアを提言した。政府では検討が進められているが、通称「パブパスポート」と呼ばれるこのアイデアについて、イギリスでは本当に素晴らしいと思う人がいる一方、市民の自由に対する冒涜(ぼうとく)だと考える人もいるようだ。

保守党の上級議員であるスティーブ・ベイカーは、このニュースに怒りをあらわにし、首相のアイデアを「恐ろしいわな」と非難。この「パスポート」(デジタル証明書の形をとる可能性が高い)について、彼は次のように付け加えた。「最初はサッカーを見るために必要だとされ、今回はパブへ行くために、といわれているのだ」

首相はこの計画を法律で取り締まるかどうかを問われた際、「店の大家やパブ経営者の判断に任せることになるかもしれない」と発言。これに対し、ブリティッシュ・パブ・コンフェデレーションの会長であるグレッグ・マルホランドは、「パブは国民保健サービスの検査および接触追跡戦略に協力してきた。ただ政府が責任を放棄して、パブに道徳的な判断を求めることは受け入れられない」と述べている。

パブチェーン、Shepherd Neameの最高経営責任者(CEO)であるジョナサン・ ニーメはRadio 4に対し、自分たちのパブではワクチン接種証明書の提出を求めないと話し、首相のアイデアに対し、以下のように反対の立場を示した。「多様性を認め、インクルーシブな場所であることがパブの本質。誰もが、特に家族連れが歓迎されるべきなのです」

一方、医療機関の業界団体、UK HospitalityのCEOである、ケイト・ニコルズが、ワクチン接種の義務化は別の問題を引き起こすと指摘している。「(ワクチン接種を義務にすることは)単純に実行不可能であり、店舗などにおいてスタッフと顧客の間に対立が生じ、ほぼ確実に平等原則の違反となります」

首相は、「パブパスポート」についてはまだ何も決定していないとし、パブやレストランは予定通り4月12日(月)に屋外席での飲食を再開できると強調。彼はまた、医療上の理由でワクチン接種を受けられない人や、妊娠中の女性にも配慮したパスポートにする必要があると述べている。

3月下旬時点で、イギリス国民のうち約2900万人が最初のワクチン接種済み。政府は、6月にのワクチンパスポート計画の実現性に関する報告書を発表する予定だ。

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