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ポール・マッカートニー(Paul McCartney)自らが撮影した、約250枚もの写真を展示する展覧会「ポール・マッカートニー写真展 1963-64~Eyes of the Storm~」が、六本木の「東京シティビュー」でスタートした。
2023年にロンドンの「ナショナル ポートレート ギャラリー(National Portrait Gallery)」のリニューアルオープン記念展として開催され、アメリカでの巡回展を経て、ついに日本に上陸。待ち望んでいたファンも多いことだろう。
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日本でのみ展示されるビートルズ4人のブロンズ像は必見
開幕に先立って行われたプレス向けの内覧会では、本展のキュレーターで、ナショナル ポートレート ギャラリー共同学芸部長のロージー・ブロードリー(Rosie Broadly)が登壇し、本展開催に至るまでのさまざまなエピソードを明かした。
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驚くことに、展示されている写真のほとんどが、ネガやコンタクトシートのまま長らく保管されてきたもので、これまで一切公開されてこなかったという。「写真の選定から、会場レイアウトに合わせた壁の色や手書きの文字、額縁のセレクトまで、展覧会準備のさまざまなプロセスに、ポール自らがとても協力的に関わってくれた」とブロードリーは笑顔で語った。
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さらに、日本会場のみで展示されるビートルズ4人の貴重なブロンズ像も見逃せない。手がけたのはイギリスの彫刻家デイヴィッド・ウィン(David Wynne)だ。1964年の「オランピア劇場(L'Olympia)」公演を行うためにパリに滞在していた、制作当時の4人の写真も展示されている。
ブロンズ像は、当初マネジャーだったブライアン・エプスタイン(Brian Epstein)がコレクションしていたものだという。残念ながら著作権の都合上、作品画像の掲載ができないため、会場でじっくりと鑑賞してほしい。
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ともに世界各地を旅しているかのようなスナップの数々
本展で展示されているのは、今から約60年前の1963年12月から「エド・サリヴァン・ショー」でアメリカに凱旋(がいせん)した1964年2月までの約3カ月間の記録だ。1962年にデビューした後、瞬く間に世界的なスターとなったビートルズの絶頂期と重なる。
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本展は、ほぼ撮影された時系列に沿って展開していく。ロンドンやリヴァプールで撮影された写真からスタートし、パリ、ニューヨーク、ワシントンD.C、そして休暇を過ごしたマイアミと、世界を転々としていた彼らの旅に同行しているような気分が味わえるだろう。
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飛行機や車での移動中に笑顔のファンやメディアに囲まれている様子を窓から写したもの、滞在先のホテルでくつろいでいる様子など、本当にプライベートな時間に撮影された、日常のスナップ写真が多い。そしていずれも、ポール本人だから撮影できたであろう被写体の表情がとにかく魅力的だ。
また、ポールが撮影した写真のほかにも、「ケネディ国際空港」で地元メディアに囲まれて記者会見する4人の映像や、「エド・サリヴァン・ショー」に出演した際のダイジェスト映像などを観ることができる。
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ちなみに、ポールが愛用していたのは、ペンタックスの35mm一眼レフカメラだったそうだ。キュレーターのブロードリーによると、おそらく関係者からプレゼントされた機材とみられ、ツアーに同行していたプロカメラマンらに使い方をレクチャーしてもらっていたという。撮影しているシチュエーションやアングルについては、同時代の写真作品や映画などからインスピレーションを得ていたこともうかがえる。
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ポールの肉声による無料の音声ガイドや限定グッズにも注目
本展では、ポールの肉声による無料の音声ガイドをぜひ利用してほしい。自身のスマートフォンに専用アプリをダウンロードすることで聴け、日本語訳のテキストも表示される。当時を懐かしむポールの声を通して、当時の熱狂を追体験できるだろう。
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また、展覧会限定のオリジナルグッズの数々も、ファンにはたまらないラインアップだ。
先行して開催されていたイギリスやアメリカの展示会場でも販売されたグッズはもちろん、アパレルから小物まで、日本限定のグッズも登場している。色とりどりのオーガニックコットン100%のTシャツには、展覧会に登場する都市名がポール自身による手書きでデザインされている。
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また、アコーディオン型の「ミニガイドブック」は、アメリカ・イギリス会場で注目を集めたスタイリッシュな一冊。そのほかにも「シングルフォリオ・プリント」「コンタクト・シート」など、数量限定のプリント商品も販売されている。展示と併せてじっくりと楽しんでほしい。
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