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地下鉄やバスを待つことなく、風を感じながらパリの街をスイスイと走り回るのが大好きだった人たちにとって残念なニュースが届いた。
2023年9月1日から、パリでの電動キックボードのシェアリングサービスが正式に禁止されたのだ。8月31日には、導入されていた1万5000台の電動キックボードのうち、パリの路上にまだ残っていたもの撤去された。一つの時代の終わりと表現する人もいるかもしれないが、少しほっとしたような気もする。
パリ市が電動キックボードのシェアリング市場を開放したのは2018年(ヨーロッパで最初の都市だった)。3つの異なるレンタル事業者が参入し、学生や35歳以下の人たちに大人気だったが、開始当初から物議を醸した。
政治家からは安全性への懸念が日常的に指摘されるようになり、街の多くの歩行者はその存在にストレスを感じるようになっていったのだ。電動キックボードが路上に放置される様子は「無法地帯的」とまで評され、2020年からは速度制限や事業者数の制限といった、世界で最も厳しい規制を実施していた。
こうした措置にもかかわらず、電動キックボードの不注意による事故が後を絶たなかったため、パリ市長であるアンヌ・イダルゴは4月に電動キックボードの今後をパリ市民に問う住民投票を実施。わずか7.5%という超低投票率ではあったが、投票者の90%が禁止に賛成した。この結果により、8月31日がパリでの電動キックボードの最終日となったというわけだ。
これまで電動キックボードに乗っていた人々が、代わりに自転車に転向することも予想される。レンタサイクルは、すでに電動キックボードのシェアリングサービスを実施していた同じ事業者から提供されている。この移行がうまくいけば、各社が必要とする人員削減の数を抑えつつ、パリの通りが歩行者にとってこれまでよりは安全な場所になるかもしれない。
しかし一方で、ユーロニュースは電動キックボードに比べると自転車は「(利用する上では)あまり軽快ではない」という観光客が漏らした不満も伝えている。
どうやら我々は、代わりに古き良き時代の散歩に落ち着く必要がありそうだ。
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『Paris has become the first European city to ban e-scooters(原文)』
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