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三田で90年続いた「万歳湯」をリノベーションした銭湯「パラダイス(PARADISE)」が、若手アーティストを支援する目的で「PARADISE WALL ART CONTEST 2023」を実施。その受賞作品が、同浴室内でプロジェクター投影する「現代版銭湯壁画」内で展示中だ。
コンテストは、パラダイスのコンセプトでもある「極楽浄⼟」をテーマに作品を募集。全122作品の応募があり、その中から「⾵呂やサウナの⼊浴中・⼊浴後のリラックスした状態で眺めるのに適しているか」という観点から審査を行い、最優秀賞、優秀賞、各審査員賞などの最も「ととのう」18点の作品が選定された。
タイムアウト東京を運営するORIGINAL Inc.代表である伏⾕博之が選んだ「伏⾕博之賞」に選ばれたのは、上谷川のんが手がけた「blink of the goddess」。架空の極楽浄土の女神を描いたという作品で、どことなく懐かしさを抱かせる女性イラストとポップな色彩で彩られた夢想的な世界観がキャッチーだ。
本作が持つ心地よさを伏谷は「見つめ合うことの極楽時間」「快楽の無限ループ」と評した。魅惑的な瞬きの一瞬一瞬がまるで見つめ合うようで、ドキリとする。
上谷川はフリーイラストレーターで、普段は別の仕事をしながら、自身のInstagramへ定期的に作品を投稿。独学ながら、2022年12月から本格的に描き始め、12月3日以降は毎日作品を仕上げている。同展が初のコンテスト出展にもかかわらず、見事受賞した。
いずれの作品も、現実とは離れた架空の世界感を意識し、「風や光、その時の感情や空気感といった目に見えないものを具現化させたい」という思いが込められている。今後は、イラストまんがなどストーリー性のある作品にも挑戦していくそう。ぜひ、Instagramでほかの作品もチェックしてほしい。
最優秀賞は、富士山を背景に行き交う人々やさまざまな季節が感じられるアニメーション作品「極楽湯海」(TOMOTAKA YOKOO)。優秀賞は、丸窓の中で移りゆく景色や幻想的な花などが描かれた「丸窓」(KOZUE HARAKI)が受賞した。そのほかの受賞作品の詳細は公式ウェブサイトで確認してみよう。
同コンテストの主催者であるパラダイスの佐藤諒は「『銭湯といえば、富士山』。本コンテストは、そんな伝統的な銭湯壁画への敬意を持ちつつ、浴室内の大きな壁面に映像作品を投影することで、アーティスト・鑑賞者の双方にとって新鮮かつ価値のある体験を提供することを目的として発案されました。国内外合わせて122点もの作品から厳選された受賞作品を観に、パラダイスまでお越しいただくのをお待ちしております」と来場を促す。
受賞作品は、6月中旬まで投影展示される予定だ。浮世を忘れ、ゆったりと動く銭湯画を眺めれば、心身ともに極楽浄土の「ととのい」が体験できるかも。なお施設は基本的に男性専用で、女性は毎⽉0の付く⽇の「レディースデー」のみ利用できるので、注意してほしい。
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