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フランスといえば、世界で最も人気のある観光地の一つであるが、それが変わる可能性が出てきた。
2023年6月18日、フランス観光相のオリビア・グレゴワールは、同国が長い迎え入れてきた旅行者の数を減らす戦略をとることを発表。この政策について「環境、地元の人々の生活の質、観光客の体験」に対する脅威に対応するものであると述べた。
パンデミック以降、オーバーツーリズムがより顕著で、特に観光地が、時間も金もあまり使わない客であふれかえっていることが問題になっている。またその結果、地域社会が観光業からの恩恵を十分受けられず、経済力を失っていることも課題になっているのだ。
今のところ、政府はオーバーツーリズムとどう戦うつもりなのか、正確には発表していない。最も危機にある場所を特定するために、政府が国内の観光産業をチェックする機関を設置するのが、最初のステップになりそうだ。さらにオーバーツーリズムによって引き起こされる問題に対する認識を広めるために、旅行系インフルエンサーの助けを借りることも考えているという。
フランスの一部の人気観光地では、すでに観光客の数を減らすための対策を講じている。マルセイユのカランク国立公園では、有名なスギトンの入り江への1日の訪問者をわずか400人に制限する予約システムを導入。パンデミック発生時に初めて実施されたこの制限は、少なくとも2027年までは維持される予定だ。一方、ブルターニュのブレハ島は、1日の訪問者数の上限を4700人に設定した。
ただ、これらの人気観光スポットは、必ずしも全体の訪問者数を減らそうとしているわけではなく、年間を通してより均等に訪問者数を分散させようとしている。
フランスが観光客の数を管理するために行動を起こしている理由を理解するのは難しくない。結局のところ、最優先されるべきは地元の人々と環境だ。暮らす人が生き残ることができないような場所を、訪れる価値はあまりないといえるだろう。
今オーバーツーリズムに対抗しているのはフランスだけではない。アムステルダムやフィレンツェからバリ島に至るまで、世界中には旅行者に来てほしくないと思う観光地が増えている。
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『France is telling tourists to stay away from its biggest landmarks(原文)』
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