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大宮にミニシアター併設の複合施設「OttO」が誕生

4月29日オープン、カフェ・シェアハウス併設で誰でも気軽に立ち寄れる空間に

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Kaoru Hoshino
OttO
Photo: Kaoru Hoshino | ダークグレーの外観
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大宮駅西口から徒歩5分の場所に、ミニシアター・カフェ・シェアハウスが一体となった複合施設「オット(OttO)」が、2025年4月29日(火)にオープンする。建物の前の黒く輝くシボレー・エルカミーノが目印だ。

同施設を手がけたのは、地元・大宮在住の今井健太。今井は、1990年代から続く土地区画整理事業により、街並みは整理される一方で、人々が自然と集まる場所が失われていく街の現状に胸を痛めてきた。

地域の未来を見据えたプロジェクト

きっかけは、息子と散歩中の何気ない会話だった。「ここに映画館があったら良いね」という一言から、映画館を作るという壮大なプロジェクトがスタートしたのだ。

OttO
Photo: Kaoru Hoshino自由に本が読めるカフェスペース

ファミリー世帯から高齢者まで、幅広い層が暮らす大宮西口エリア。地域のコミュニティーが希薄になりつつあるこの街で、かつてのように地元に根ざした人も新しく移り住んだ人も顔を合わせ、交流できる文化インフラとなるような施設を作る決断を下した。その理念に賛同して集まった仲間たちとクラウドファンディングの支援により、ついにオットは誕生した。

今井の理念は、建築家の佐々木善樹が手がけた建物にも行き渡っている。ミニシアターをはじめ、カフェ、シェアハウスには、さまざまな人たちが立ち寄れる空間になるよう、随所に工夫が施されている。

訪れる人々のために施された工夫が随所に

OttO
Photo: Kaoru Hoshino「鶴岡まちなかキネマ」から譲り受けたシート

メインとなる2階の映画館には、50席を設置。山形の「鶴岡まちなかキネマ」から譲り受けた38席に加え、寝そべりながら映画が鑑賞できる2人用のボックスシートが4つ並んでいる。

OttO
Photo: Kaoru Hoshinoボックスシート

さらに、防音仕様の親子ルームも完備。ベビーカーのまま入室でき、子どもと一緒に気軽に映画鑑賞を楽しめる、気の利いた配慮がなされている。

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Photo: Kaoru Hoshinoテーマカラーであるライトグリーンのカーペットが敷かれたシアター

劇場設備には、「109シネマズプレミアム新宿」や「東京都現代美術館」で開催中の坂本龍一の展覧会「坂本龍一|音を視る 時を聴く」の映像機器を担当したXEBEXとEASTERN SOUND FACTORYの2社が手がけている。トップクラスのサウンドシステムと、約220インチの大画面でシネマコンンプレックスに引けを取らない没入感が得られるのが同館の特徴だ。

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Photo: Kaoru Hoshino酒も嗜める1階のカウンター

1階には、カウンター席を備えたカフェスペースを併設。朝9時から夜21時まで営業し、手作りのおにぎりや本格ピザなどの軽食も提供する。コーヒーには、ニューヨーク・ブルックリン発「ブルックリン ロースティング カンパニー」の豆を使用するなど、立ち寄りたくなる魅力が随所に散りばめられている。

映画鑑賞後に酒を飲みながら感想を語り合ったり、ふらりと立ち寄ってコーヒーを楽しんだりと、楽しみ方も自由自在。今後はマルシェなどのイベントも定期的に開催予定だ。

シェアハウスの一例
Photo: Kaoru Hoshinoシェアハウスの一例

さらに、3〜5階には全25部屋のシェアハウスを備える。落ち着いた山鳩色の壁、無垢材のフローリング、既製品をほとんど使わないことによって、宿泊者がほっとできるような温かみのある空間となっている。また、女性専用フロアがあるのもうれしい。

宿泊者は、起き抜けに部屋着で映画を楽しむ、そんな夢のような時間がここでは現実となる。

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Photo: Kaoru Hoshinoランドリーも完備

こけら落とし作品には、『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』『ぼくが生きてる、ふたつの世界』など、計8作品をラインアップ。今後も同施設らしく、子どもから大人まで幅広い世代が楽しめる作品を上映していく予定だ。

「オット」という名称は、父親のことをそう呼ぶ今井の息子がネーミング。ゲルマン語で「相続財産」という意味を持つ言葉だ。

そんな名称のように、大宮の文化インフラとして集まる人々が価値を生み出していく、そんなオットの未来に希望を感じずにはいられない。

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