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ミシュラン一つ星を2年連続で獲得しているレストラン、シオ(sio)の新店舗が2021年10月1日、北青山の複合施設ののあおやま内にオープンした。ホテルズ(Hotel's)と名付けられた同店のコンセプトは「架空のホテルのレストラン」。抜けのないおもてなしに、細部までこだわったリラックス空間、そしてモーニング、ランチ、ディナーと、いつ訪れてもそれぞれの時間帯に合わせた最高のメニューが楽しめる同店は、まさにホテルのようにくつろぎのある一軒だ。
誰もが分かる料理をミシュランシェフのクオリティーで
提供メニューは朝、昼、夜で異なるが、全てに共通するのは「分かりやすい料理」であること。「ハンバーガー」「サラダ」「オムレツ」など、誰もがおいしいと思える身近な料理をミシュランシェフのクオリティーで提供している。
「よく分からない料理を食べておいしいと言う、今のレストランに疲れている」と話す同店のシェフ、鳥羽周作の言葉のように、食事へ行ったのになんだか気疲れしてしまったなんて経験をしたことがある人もいるだろう。同店では、「雰囲気」ではなく、「おいしいもの」を心から堪能できる空間づくりがされているので、きっと誰もがリラックスして食事を楽しめるはずだ。
料理だけを作っている人はストイックじゃない
その空間にも通ずるところだが、店全体がディレクションされたホテルズは、どこを切り取っても抜かりない。「料理だけを作っている人はストイックじゃない」という自身の言葉を反映するように、鳥羽は料理を盛る器から家具、おしぼり、それぞれの時間で選曲が変わる音楽、スタッフのユニフォーム、そしてトイレの香りに至るまで、店に足を踏み入れてから食事を楽しんで帰るまで、来店客が気持ち良い時間を過ごせるようにと、全てに意味を込めてチョイスしている。
テーブルや椅子など、店にある全ての家具は1928年に広島県で創業した木工家具メーカー、マルニ木工の製品。鳥羽が工場に足を運んだ際にほれ込んだという家具は、木の魅力を引き出すデザインが美しい。特に注目なのが椅子のコレクション。正しい姿勢のまま胃を圧迫せずに料理が楽しめるデザインになっているのだそう。
また、料理を盛る食器は茨城県笠間市を拠点に活動する陶芸家、鈴木麻起子が手がける『La Maison de Vent』のものを採用。通常よりも1.5〜2センチ小さなサイズで作ってもらい、料理の映え方も意識した。
持続可能な「チームズレストラン」
そしてもう一点、「チームズレストラン」であることも同店の特徴だ。シオも「シェフズレストラン」から「チームズレストラン」への転換を進めているが、これは鳥羽一人に依存するのではなく、チームの誰がキッチンに立ってもおいしい料理が提供できるというシステム。朝、昼、夜と3部制で営業できるのも、いつでも安定しておいしい料理が味わえることも、全て「チームズレストラン」だからこそなせるものなのである。
来店客への愛、料理への愛、従業員への愛、そして飲食業界の未来が詰まったホテルズ。これまでとは一味違ったレストランをぜひ体験してみてほしい。
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