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お台場の商業施設ヴィーナスフォートが2022年3月27日に閉館した。臨海副都心エリアで22年半にわたってにぎわいを創出してきたランドマークの最終日は、思い出を胸に多くの家族連れらが駆けつけて名残を惜しんだ。
ヴィーナスフォートは1999年8月、大観覧車で知られる複合施設パレットタウン内にオープン。これまでに延べ2億人を超える買い物客が訪れた。中世ヨーロッパをコンセプトにした館内デザインが特徴で、街並みを楽しみながら大切な人と過ごせる日本初のテーマパーク型ショッピングモールとしてたちまち人気スポットに成長。当時はまだ空き地だらけだったお台場エリアの風景を一変させた。
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締めくくりも華やかだった。営業終了にあたり、「FINAL CARNIVAL」をテーマに館内各所でショーやパレードなどさまざまな催しが展開。中でも人気スポットの噴水広場には、大勢の来館者が集まり記念撮影を楽しんだ。キラキラと美しいイルミネーションで彩られ、マーチングバンドの演奏に先導された仮装パレードが会場の空気を盛り上げた。
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子どもとパレードに参加していた山下航にとっては、幼い頃に家族旅行で訪れた思い出の場所だ。「プロポーズは(この)噴水の前でしました。ずっと家族を連れていきたいと思っていた思い出の地で、最後にまた幸せな思い出ができました」と感慨深げに辺りを眺めていた。
幻想的なムードの教会広場も名所の一つ。アイドルやアーティストがライブするような本格的なステージ設備がある。最終日には「あなたの夢かなえます」と題して、選ばれた2組がここでパフォーマンスを披露した。
トップバッターは先週小学校を卒業したばかりの中島桃花。このステージに立つために、走りながら歌う練習を重ね、歌唱力を高めたという。素晴らしい歌とダンスに観客から大きな拍手が送られた。中島は「お誕生日やクリスマスに家族で来る特別な場所。いつもキラキラときれいでたくさん写真を撮った」と振り返る。
閉館後に行われたフィナーレセレモニーで館長の清水寛は「夢や思い出が詰まっているので本当に残念だがこれからが始まり。この先もより良い街づくりに取り組みたい」と抱負を語った。
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今後、臨海副都心エリアの再開発が計画されている。2025年秋にはスポーツイベントなどを開催できる大型複合アリーナが誕生する予定だ。建物はなくなってしまうが、ここを訪れた人々の幸せな思い出は心の中で時を経てなお輝くことだろう。
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