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代々木上原の閑静な住宅街の中に、多くの食いしん坊たちが待ちわびていた注目のクレープカフェ「オーシー トーキョー(ØC tokyo)」が誕生した。「カビ(KABI)」の立ち上げメンバーとして活躍した田井將貴による究極のクレープを堪能してほしい。
店内の内装を手掛けたのは、建築家のクマタイチ。無垢材のテーブルに、打ちっぱなしのコンクリート、そしてひときわ目を引く、清々しいブルーの座面をした丸椅子がある。北欧のエッセンスを纏いつつも作り込みすぎない雰囲気を意識し、素材感を生かしながら、程よくポップに仕上げたという。
目当ての「クレープ」(1,320円、以下全て税込み)を紹介しよう。ムラのないきれいな焼き色をしたバターシュガークレープは、パタリと折り畳まれ、まるでアートのようだ。薄皮だが驚くほどもっちりとした生地、その裏面にたっぷり塗られた無塩バターのコク、黒糖ザラメのしゃりしゃりとした食感。食材そのものの魅力が一口の中に見事にまとまり、まさに圧巻だ。
添えられた冷たいバターは、シェフの食への遊び心を感じさせる。温かい生地に乗せ、溶けてしまう前に、かじるようにして食べるのがおすすめだ。
このレシピは、田井がパリでクレープを食べたときに「自分だったらこれよりおいしいものが作れるかもしれない」と思ったのがきっかけだそう。コペンハーゲンの市場で材料を調達しては試行錯誤を繰り返し、満足のいくレシピに辿りついた。そこまでの経緯をうれしそうに語る彼の表情からは、ただただ真っ直ぐな料理への愛が感じられた。
クレープと共に味わってほしいのが「アイスコーヒー」(660円)。田井が毎日欠かさず通っていたというPROLOG(プロローグ)というコペンハーゲンの人気カフェの浅煎(い)り豆を使用する。 苦味が少なく、フルーティーさと洗練された酸味が特徴だ。この爽やかさが、クレープの優しい甘さの後味を心地よく増幅せてくれる。
クレープ皿やコーヒーカップは、ØCのチームと兼ねてから関わりがある陶芸家、野口悦士によるもの。古い土器のようなしっとりとした美しさは、一皿、一杯の魅力を盛り立てる。
6月3日からは、ランチクレープもスタート。薄くスライスしたデンマーク産のロースト豚に、季節の根菜や葉物を贅沢に何種類も盛る。今度はバターの代わりに温泉卵を添えてあり、好みの合わせ方で楽しめるスタイルだ。田井のセレクトしたワインやビールをはじめとするアルコール類も充実しているので、昼飲みにも間違いのないスポットとなるだろう。
オーガニックの食材を農家から直接取り寄せていることから、時期によって風味や食感に差異が生まれている。化学肥料や遺伝子組み換えで均一に整えられた食材も少なくない時代だからこそ、自然ならではありのままを重んじて、その度に食材と向かい合い自らの技術でおいしく表現することを大切にしていると田井は語る。
遠方からの客も多く、週末は行列が絶えない人気ぶり。クレープの流行の発信源の一つとなっている。「ここを目指して訪れるお客さんがいるのはありがたい。でも、せっかくなので、地元の方にもさらに愛されるお店にしていきたい」とのこと。繊細なこだわりが至る所に感じられる同店なら、これから先も、地元でも長く愛される店となるのは間違いない。
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