[title]
ニューヨークのクイーンズ区ロングアイランドシティにある日本食店が在宅勤務のコンセプトを取り入れ、東南アジアの労働力を巻き込んで営業していることが、一部で物議を醸している。
その店は、クイーンズボロプラザから1ブロック離れた場所に位置する「Sansan Ramen」と「Sansan Chicken」。両店では、Zoomを通じてフィリピンから接客する「バーチャルレジ係」を採用しているのだ。
その仕組みは至ってシンプル。店の入り口に置かれた薄型モニターには、Zoomコールでつながる「レジ係」が映し出されている。店に入った人は、普通の飲食店でするように、画面を見ながら注文をするだけだ。
こうした半バーチャルな体験に独特の喜びを感じる人もいれば、違和感を覚える人もいるだろう。いずれにしても店にとっては、月の最低賃金が186.97ドル(約2万8,855円)であるフィリピンにいるレジ係に給料を払う方が、最低賃金が時給16ドル(約2,470円)のニューヨーク市よりずっと安くなる。
つまり、言うまでもないかもしれないが、このバーチャルでの接客はニューヨークに実際に住んでいる人々から仕事を奪っていることになる。
実際に注文をしたニューヨーク・タイムズ紙の記者は、通信が不安定でレジ係の声が聞き取りにくかったと指摘。ニューヨーク・ポスト紙の記者の場合は、メニューにある魚について、レジ係がどんな種類なのか知らなかったようだ。チップについては、バーチャルレジ係が現場の調理担当とマネジャーと折半になる、とニューヨーク・ポスト紙が伝えている。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、ニューヨークにおけるレジ係のバーチャル化現象の拡大には、Happy Cashierという会社が大きく寄与しているという。同社は2023年10月からこのバーチャルレジサービスをテストし、すでにクイーンズ、マンハッタン、ジャージーシティ全域で顧客を獲得。「Sansan Ramen」「Sansan Chicken」も同社サービスのユーザーだ。
ニューヨークの多くのレストランは、パンデミック以来、家賃の高騰とインフレ率の高騰のため苦境に立たされている。バーチャルレジ係は、大幅なコスト削減を可能にする良い方法かもしれない。しかし、一部の企業にとってそうであっても、このやり方には賛否両論があり、非人間的だと感じる人もいる。
人々がどう思うかにかかわらず、この種の手法はこれからもっと増えていくだろう。
関連記事
『These NYC restaurants take on-site orders via Zoom(原文)』
『ニューヨークでカジノ併設の超高層ビルを建設するプランが発表』
『ニューヨークにサイケで「Kawaii」寿司レストランがオープン』
『オーストラリアのスターシェフが腕を振るうポップアップレストランが西新宿にオープン』
『世界で最も飲食が楽しめる街ランキングが発表、東京が1位に輝く』
東京の最新情報をタイムアウト東京のメールマガジンでチェックしよう。登録はこちら