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2021年10月1日(金)(現地時間9月30日)、ロサンゼルスにアカデミー映画博物館の一般公開がスタートする。この博物館は、アカデミー賞を主催するアメリカ・ロサンゼルスの映画芸術科学アカデミーが総力を挙げて造り上げた映画の芸術と科学に特化した世界最高の施設だ。
設計を担当するのは、ポンピドゥー・センターや関西国際空港旅客ターミナルビルを手がけたことで知られる名建築家レンゾ・ピアノ。展示スペース、288席の『テッド・マン・シアター』、『シャーリー・テンプル教育スタジオ』、特別イベントスペース、保護施設やカフェ、店舗を含む7階建てで、1939年に完成したストリームライン・モダン様式の歴史的建築物であるサバン・ビルを修復し、アカデミー映画博物館として生まれ変わったものである。
最も大きな特徴はデジタル、16ミリ、35ミリ、70ミリ、ナイトレートフィルムが上映できる最新鋭設備のほか、60人のオーケストラピットを備えた1000席の『デビッド・ゲッフェン・シアター』と、ハリウッド・ヒルズを一望できる屋上の『ドルビー・ファミリー・テラス』が併設された空中に浮かぶ球体空間。この部分は新たに建設され、ガラスの橋を介しサバン・ビルと接続しており、人々を引きつける独創的な建築となっている。
館内には、『E.T.』や『スター・ウォーズ』のR2-D2、『オズの魔法使い』で使用された赤い靴など、実際の撮影で使われた小道具やキャラクターを展示。そのほか、さまざまな常設展、企画展、映画上映、パネルトーク、シンポジウムなどによって映画の世界観を深掘りできるだけなく、映画産業の負の歴史を浮き彫りにするなど実験的で教育的な要素も含めながら楽しむことができる。
オープニング企画展では、北米では初となる宮崎駿の作品展が開かれる。原画などの展示を通じ宮崎の「情熱と美的感覚」の根源に触れる内容だ。アニメ映画のコーナーでは『AKIRA』などで知られる漫画家、大友克洋の作品も並ぶ。
ほかにも、『Stories of Cinema(映画の物語)』と題された中核展示では、映画製作の歴史、アート、科学の現在と過去におけるあらゆる側面を紹介。展示総面積、約2800平方メートルにも成る3つのフロアにわたって展開し、動画、音響、小道具、衣装、台本、ポスター、映画美術のスケッチやアニメーションのセル画、マットペインティング、パペットなどがたっぷりと観賞できる。
映画『北北西に進路を取れ』に登場するラシュモア山の絵を、約3メートルの高さで表現したインスタレーションの『Backdrop:An Invisible Art(バックドロップ:見えざる芸術)』や、ハリウッドのドルビー・シアターのステージに立ってアカデミー賞を授与されているかのような感覚が味わえる没入型のプログラム『 The Oscars® Experience(オスカー体験)』も用意する。
残念ながらコロナ禍のため簡単には行くことができないが、この世界最大の映画博物館は「一度は行ってみたい場所」のリストに加えたい施設であることは間違いないだろう。
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