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アートとレトロを愛する人は今すぐ駆けつけるべき純喫茶が、中野ブロードウェイに誕生した。2023年4月29日にオープンした「純喫茶ジンガロ」は、世界的アーティストである現代美術家の村上隆が手がける喫茶店で、同地で2020年まで営業していたカフェ「バー ジンガロ(Bar Zingaro)」がリニューアルオープンしたものだ。
1960〜70年代をイメージしたという昭和レトロな内装は「恵比寿横丁」「新宿カブキhall~歌舞伎横丁」など斬新な横丁プロジェクトを数多く手がける、浜倉的商店製作所の浜倉好宣が担当。村上とのつながりが深く、過去にはジンガロのオフィス内に横丁を造ったこともあるそう。
同店では、革張りのソファや流線型に縁取られたショーケース、花柄のカーペット、深緑の陶器タイルな懐かしの意匠を見事に再現。新宿にあった伝説的な喫茶店「談話室滝沢」をオマージュしたという枯山水も心憎い。天井を埋め尽くすカラフルなバブル状の照明とミラーボールが、華やかなりし頃の象徴のように輝いている。
これほど徹底して再現されたニューレトロ喫茶自体珍しいが、壁面のアートなど、随所にちりばめられた村上の作品が同店を唯一無二にしている。中でも、特大のブラウン管テレビ風モニターに映し出されたNFT映像作品は見応えたっぷりだ。
全て純正だというテーブル型ゲーム筐体(きょうたい)10台は、「ゼビウス」「マリオブラザーズ」「ストリートファイター」など伝説の幕開けともいえる名作の初期作が揃う。専用の「お花コイン」(500円、税込み)を購入すれば、実際にプレーすることもできる。
食事メニューは、「となりの開花堂」が同店のために開発したコーヒーゼリーのほか、メロンフロート、プリン、パンケーキといった定番の喫茶メニューを用意。プリンは固めのプリンの上に、自家製クリームと花のデザインをあしらったオリジナルクッキーが添えてあり、写真映えもバッチリだ。
オリジナルの花形コーヒーゼリーもおすすめ。しっかりした苦みと甘めな生クリームの組み合わせはどこか懐かしい味わいで、同店の雰囲気にもよくマッチしている。飲み物の一番人気はメロンフロートだが、紅茶を発酵させた飲料である「コンブチャ」などもおいしいので、ぜひ試してみてほしい。
通常のコーヒーやカフェラテは、ノルウェーの「フグレン(FUGLEN)ロースタリー」がプロデュース。サードウェーブな酸みが感じられる味わいが、純喫茶とは異色の組み合わせで面白い。バー時代から人気のお花のラテも、オリジナルマグカップで提供する。
さらに、オンラインのみで不定期に販売されていた「となりの開花堂」のクッキー缶やバターサンドが店頭で常時販売されているのもうれしい。
マネジャーの森下偉雄は「村上のアートやゲーム筐体など、この空間そのものがエンターテインメントになるよう心がけました。ここでしか体験できないひとときをぜひ楽しんでください」と語る。
今後は、食器も全てオリジナルデザインにしていく予定だ。スタッフが身に着けている前かけやTシャツなどのアパレルの販売も検討しているそう。中野ブロードウェイにできた新たな注目スポットに出かけてみては。
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