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あらゆる表現と出合える独立書店、百年の二度寝が江古田にオープン

店主は選書の達人と突然段ボールのドラムを担当しているという異色の二人組

テキスト:
Time Out Tokyo Editors
百年の二度寝
Photo: Keisuke Tanigawa
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テキスト:大橋洋介

江古田は、日本大学芸術学部などの芸術系の大学が集まり、味わいのある学生街が形成されている。そんな街に、あらゆる表現と出合える独立書店、百年の二度寝が2021年3月15日にオープンした。場所はセレクト雑貨店、オイルライフの奥を間借りしている。

古本と新刊、店主こだわりの選書が並ぶ

同店の在庫の半数以上を占めるのは古本だ。フェミニズムや社会学、人文学、街歩きなど多様なジャンルが並び、新たな発見があり、ついつい深入りしてしまう棚づくりがされている。新刊書は、気鋭の版元による一般の流通には乗らないZINEや同人誌も取りそろえてあり、ニッチな内容に知的好奇心が刺激されることだろう。

百年の二度寝
取材時に石神井公園の出版社、スタンドブックス(STAND!BOOKS)の全点フェアをしていた(Photo: keisuke Tanigawa)

雑貨も取り扱い、発表の場にもなる欲張りな本屋

百年の二度寝は書籍の販売以外活動を行える場を目指し、あらゆる表現を扱う本屋「とか」の店をうたっている。なかでも注目は雑貨。国内外の作家が手がけたブローチなどのアクセサリーやおもちゃなど、かわいいだけではない、キッチュな魅力あふれる商品を本棚の所々に陳列。ほかにも、アコースティックライブや作品展示、イベントを行うための発表の場としての活用も予定している。

百年の二度寝
かわいらしい紙袋や包装紙など実用性の高いアイテムも多い(Photo: keiuke Tanigawa)


ひと箱古本市から古本屋へと進化

運営に当たるのは、河合南と新井宗彦。河合は大型書店で勤務していた経歴の持ち主新井は「突然段ボール」というバンドで現在もドラムを担当している。2青空古本市や、ひと箱古本市といった、個人が選書した少数の本を扱うイベントで活動してきた。自分たちで本制作活動もしており、「突然段ボール」の主要メンバーである蔦木俊二の言葉をまとめた『蔦木語録』なども刊行している。 

百年の二度寝
什器(じゅうき)として使われている箱は、ひと箱古本市での活動をしのばせるアイテム (Photo: keisuke Tanigawa)


人生で困った時にはこの1冊

書店員時代から古本市までの活動を通して、いま、目の前にいる人たちにどんな本を提案するかを考えてきた河合。「弱っている人でも時間を過ごせる場を目指したい」と語る。新井は「本を並べることと音楽をやること、その表現の根源は変わりません」と言う。「そもそも『突然段ボール』は音楽だけではなく美術など多様な表現をしていた人たちのバンドですからね」と続けた。

そんな二人に、今お勧めの本を選んでもらった。河合のお勧めはTokinよる『ゾンビ道場』と『解離性障害のちぐはぐな日々』。新井のお勧めはパリッコの酒場巡りガイド本である『酒場っ子』。いずれも二人の個性がかいま見えるユニークな書籍だ

百年の二度寝
(Photo: keisuke Tanigawa)


同店はアーティストによる展示、ライブの開催希望者や、自主製作の雑貨、書籍の販売にも注力している。「この店にふさわしいかの判断はシビアに行いますが、持ち込みも大歓迎です。もしテイストなどの問題で、この店に置くことができなくても作品がマッチするほかの場所を提案していきたい」と河合は語る。

ぜひふらりと訪ねてみてほしい。きっと新たな出合いがあるだろう。

※現在、営業は不定期なので、訪れる前に公式SNSで確認してほしい

百年の二度寝の詳しい情報はこちら

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