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青梅の有形文化財をリノベーションした映画館が6月にオープン

旧都立繊維試験場を改修したシネマネコ、初日上映は『猫の恩返し』

テキスト:
Genya Aoki
Cinemaneko
Photo: KIsa Toyoshima
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※2021年5月14日情報更新

青梅といえば映画、と連想する人も少なくないのではないだろうか。 日本最後の映画看板師、久保板観による作品が街の至るところに飾ってあり、道ゆく人の心を銀幕の世界に連れて行ってくれた。

そんな看板が自然災害などの二次被害の懸念から撤去されてはや数年、青梅に新たなミニシアターがオープンする。青梅エリアに映画館ができるのは、実に50年ぶりだという。

場所は青梅織物工業協同組合の敷地内にある旧都立繊維試験場。この建物は昭和初期に建設され、2016年11月、国登録有形文化財に登録された青梅の織物文化とものづくりの香りが残る歴史的建造物である。この建物を改修し、2021年6月4日(金)にグランドオープンを迎えるのが映画館、シネマネコだ。

当初は5月2日オープン予定だったが、緊急事態宣言が発出したためオープンを延期。5月14日に改めてオープン日を発表した。

Cinemaneco
Photo: KIsa Toyoshima

全63席で、最大7.1chまで対応できるサラウンドなドルビー製ステレオを完備。特徴的な紫の布椅子は、2018年に惜しまれつつ閉館してしまった新潟のミニシアター、十日町シネマパラダイスの椅子を受け継いだというストーリーに胸が熱くなる。見上げると、木の梁(はり)がむき出しになった天井がまた趣き深い。旧都立繊維試験場のものをそのまま生かした同館ならではの景色なので、上映前のつかの間の楽しみにしてほしい。

Cinemaneko
エントランスロビー(Photo: KIsa Toyoshima)

運営を手がけるのは、青梅市内を中心に4店舗の飲食店を展開している火の鳥グループを率いるチャス。代表取締役の菊池康弘は「お店に食べに来てくれて、日頃お世話になっている地域の人をもっと楽しませるために何ができるのか考えていました」と話す。そうしたなかで、小さな子ども連れや、車を持っていない人、高齢者から「映画館にはまた行きたいけれど、徒歩圏にないから。と半ば諦めような声をよく耳にしていた」と話す。これらの思いを胸に、地域の人々が楽しめるコミュニティー空間を目指し、同館のプロジェクトをスタートした。

Cinemaneco
チャス代表取締役の菊池康弘(Photo: KIsa Toyoshima)

館内にはブックカフェも併設。映画を観なくても利用することができ、ここでしか食べられないオリジナルカフェメニューや、限定グッズを販売する。また商店街東栄会と提携し、『東青梅グルメマップ』や商店街と共同で使えるポイントシールラリーを展開。映画だけでなく、街歩きの拠点にもしていく。

Cinemaneko
Photo: KIsa Toyoshima

こけら落としは『猫の恩返し』を約2週間上映する。スタジオジブリの作品を映画館で観られるのはめったにないそうなので、この機会は見逃しなく。さらに初週は「ネコ祭り」と称して『猫が教えてくれたこと』『ねことじいちゃん』『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』など猫映画を上映する。

今後は、ファンのリクエストに応える企画上映やイベントなども定期的に開催するそう。「多くの人に、ここにシネマネコがあって良かったと思ってほしい」と菊池は意気揚々と語る。

4月30日(金)までクラウドファンディングも実施中。通常1,800円のところ1,000円で映画が観賞できる会員券や、オリジナルグッズなどをリターンで提供する。地元の映画好きや理念に共感した人は支援してみよう。

シネマネコの詳細情報はこちら

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