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コリアンタウンとして有名な新大久保に釜山料理を提供する、まもなく釜山駅が2021年4月16日に開業した。海に近い釜山では海鮮料理が盛んで、海の幸の持ち味を生かした数多くの料理が誕生しているという。同店では、そんな釜山の味をメイン料理とバイキング形式のフードバー、ドリンクバーがセットになった時間制(90分、120分)コース料理で満喫できる。
まず目を奪われるのはその店内。まるで韓国を走る列車の車内のような雰囲気なのである。実際に行き交う電車を眺められる「車窓」付きの座席に座れば、たちまち釜山行きの列車で食べているような気分に。料理を味わうだけでなく、旅行気分のワクワクも感じ取れる店なのだ。「気軽に韓国旅行ができない現在、旅行気分を楽しんでほしい」と、代表の柳君植(リュ・グンシク)はこだわりの内装にした理由を語る。
同店に来たからには、釜山料理として有名な『ナッコプセ』を注文しよう。『ナッコプセ』とは、手長ダコ、ホルモン、エビが入った海鮮鍋のことで、素材の持つコリコリとした食感が楽しめる料理。たっぷりの唐辛子とコチュジャンなどの調味料で味付けされた具に、牛骨をベースにしたスープを溶いて食べる。韓国料理の持ち味である、ホットな唐辛子の辛さの中に甘みが光る味わいだ。ぐつぐつ煮込まれた具材から染み出た素材の味と、甘辛いこだわりの味付けが混じり合った、海鮮風味豊かなマリアージュを堪能してほしい。
『ナッコプセ』は、見て楽しい演出が施されている点も要注目。ふわふわの大きな綿あめの上に、卵でできたニワトリの親子がちょこんと乗っている姿は写真映えするに違いない。綿あめを豪快に盛り付けたがために、甘すぎるのではないかと思う人もいるかもしれない。だが、本来料理に含まれていた砂糖を綿あめに代替しただけなので心配は無用だ。
サムギョプサル(豚バラ肉)とチュクミ(イイダコ)が具材の『チュクミサムギョプサル』も、外せない料理のうちの一つだ。柔らかな豚バラ肉と、かみ応えたっぷりのイイダコの組み合わせは箸が進む。具材の味付けやスープなどは『ナッコプセ』と同じもの。とはいえ、具材そのものの持ち味の違いのためか、実際に食べてみると筆者はこちらの方がやや辛く、みそのようなコクを感じた。
メイン料理は上記のメニューのほかに『プルコギ』『プデチゲ』『生サムギョプサル』『チーズタッカルビ』が選べる。
最後は韓国の流儀にならって、チャーハンを入れて鍋を締めてみよう。トビコの入ったチャーハンは、意外にもあっさりと爽やかな味。甘辛く油分が多い料理の後の口直しにはもってこいだ。
コースのもう一つの目玉、バイキング式のフードバーも見逃せない、ここは至れり尽くせりの夢のコーナーだ。キンパやチヂミ、トッポギといったおなじみの韓国料理だけでなく、近年流行中の「韓国風チキン」もたっぷり並べられている。チキンの味付けは『ヤンニョムチキン』『ハニーバターチキン』『チーズバターチキン』『フライドチキン』と4種類もあり目移りしてしまう。どのチキンも程よくきいたスパイスと、絶妙な揚げ具合が癖になってしまうだろう。
ドリンクバーには『梨ジュース』『とうもろこしのひげ茶』など、韓国を感じさせる飲料がそろう。アルコール飲み放題のコースもあるが、緊急事態宣言中など行政からの要請次第で提供しない可能性があるので注意してほしい。なお、フードバーのメニューは持ち帰りできないので取り過ぎは禁物だ。
多種多様な韓国料理を食べ放題できるにもかかわらず、ランチであれば90分2,178円(2人から受け付け)という価格設定は驚き以外の何ものでもない。食いしん坊を自負する人、韓国グルメを楽しみたい人には間違いなくおすすめだ。当日ふらりと来ても入店できるが、客がひっきりなしに訪れるので、確実に席を確保したい人は予約するといいだろう。
なお、新型コロナウイルス対策の影響で営業時間変更の可能性があるため、出かける際は公式情報の確認を忘れずに。
テキスト:大橋洋介
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