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JR青梅線沿線で新たな滞在型観光の創出を図る『沿線まるごとホテル』事業が一歩前進した。2022年6月1日、 同沿線の無人駅、鳩ノ巣駅の駅舎を改修した地域にイノベーションを創出する新拠点、沿線まるごとラボが開設。この事業を展開しているのは、地域活性化やビジネス創出を支援するさとゆめと、JR東日本が共同出資する沿線まるごと株式会社だ。
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鳩ノ巣駅で同日、沿線まるごとラボのオープンセレモニーが行われた。沿線まるごとラボは、JR青梅線の駅と近隣の集落を基本ユニットとして、その土地ならではの特産品や体験をコンテンツ化し、地域を「まるごと」楽しめる新たな滞在型観光を提案するというもの。駅周辺の集落や渓谷の散策、わさび田巡り、地元の生産者との対話など、その土地ならではの暮らしと歴史文化を感じられる取り組みである。
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鳩ノ巣駅駅舎を改修したラボは、まだコンテンツ化(ツアー、地域貢献活動、特産品開発など)されていない魅力的な地域資源を地域住民や地域事業者と連携。発掘、編集し、新しい地域事業を作っていく発信拠点となる。
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地域の事業者などが沿線まるごとコンシェルジュとして就任し、体験型コンテンツの開発や観光客への集落案内、コンテンツ体験のサポートを実施。さらに、2023年度内には鳩ノ巣駅近辺で古民家ホテルおよび古民家レストランを開業する予定だ。将来的には同駅がフロント機能を担い、チェックイン後、周辺集落を五感で触れる体験型コンテンツを楽しんでもらうなど、古民家ホテルで食事や宿泊をする『沿線まるごとホテル』の新たな世界観をコンテンツ化していくという。
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今後の計画については、地域住民や地域事業者とのワークショップを毎月1回開催し、地域事業をともに構築していく。また、沿線まるごとコンシェルジュと連携した体験型コンテンツを実証、検討し、商品化する上での実現性を模索する。
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『“うみだす”体験型コンテンツ』の一つとして『五感で楽しむ奥多摩わさびツアー』を予定。兄弟で『奥多摩わさび』を栽培しているワサビ農家である東京わさびブラザーズ(TOKYO WASABI BROTHERS)が同ツアーを手がけ、この度、沿線まるごとコンシェルジュに就任した。
同農園の角井仁は、「さまざまな人たちが同じ方向を向いて、一つ一つ力を合わせて魅力ある奥多摩を作っていきたい」と意気込む。共同代表の角井竜也は「奥多摩には宝のような資源がたくさんあり、その中でも私たちは『奥多摩わさび』をキーワードに、人とのつながりを大事にし、新しいモデルを作っていきたいと思います」と話す。
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このほか、奥多摩を楽しむナイトコンテンツとして、きれいな水流があるからこそ生息するホタルの観賞体験ができる奥多摩ホタルウォッチングの企画も進んでいる。同コンテンツは『森林セラピー』をはじめ、登山や自然体験ツアーを企画、催行する一般財団法人おくたま地域振興財団が担う。 地域環境保全団体と連携した集落の清掃活動やリバークリーン(川の清掃)も行われるという。
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JR青梅線での試みが、新たなモデル事業として全国の沿線や過疎高齢化に直面する地域にも広がることも目指しており、大きな期待が寄せられている。
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