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映画界では異才と呼ばれ、ファンからはカルト的人気を誇るハーモニー・コリンによる7年ぶりの新作『ザ・ビーチ・バム(原題)』が、2021年4月に日本公開されることが発表された。コリンはこれまでも映画『KIDS/キッズ』の脚本や、前作『スプリングブレイカーズ』の中で、若者たちの快楽や堕落といった退廃的な世界を描いてきたが、本作もファンの期待を裏切らない作品に仕上がっている。
舞台となるのはアメリカ南部の州、フロリダ。主人公のムーンドッグは地元フロリダでは伝説的存在の詩人だ。過去に一冊の本を出版し天才と騒がれたこともあったが、その後は大富豪の妻ミニーの金で酒とマリファナに浸り、ハウスボートの上で自由奔放な生活を送る毎日だった。
そんなムーンドッグのパーティー生活は、ある日の事件をきっかけに突然終止符を打たれてしまう。さらには娘のヘザーから「まともになること」と、新しい詩集を発表しなければ財産も没収という厳しい条件が課されることに..…。
ムーンドッグを演じるのはアカデミー賞とゴールデングローブ賞ともに主演男優賞を受賞したマシュー・マコノヒーだ。その親友役には、なんとラッパーのスヌープドッグ、謎の大富豪の妻ミニー役はアイラ・フィッシャーが演じている。
そのほかにも豪華なキャストが登場しており、リハビリ施設で出会うエキセントリックな若者をザック・エフロン、イルカに取りつかれた船長役を11年ぶりの映画出演となったマーティン・ローレンス、歌手のジミー・バフェットは本人役で出演している。
マコノヒーやスヌープドッグの奇抜なファッションは、前作『スプリング・ ブレイカーズ』でも活躍したデザイナー、ハイディ・ビヴェンスが担当。マコノヒーの女装姿は見応えたっぷりだ。
本作に登場するのは、一般的には社会不適合者とされてしまいそうな変人ばかり。むちゃくちゃな行動を起こしながらも陽気に笑う彼らには、どこか哀愁を感じる。こういった不思議なコントラストこそが、ハーモニー・コリンの作品の魅力と言えるだろう。
フロリダのオレンジ色の夕日やレトロなビーチの風景。そして往年のポップスやロックの名曲が常に鳴り響く本作は、ムーンドッグとともに旅をしているような気分になれる心地の良い傑作だ。
なお、早稲田松竹では『90年代ストリート映画特集』を1月15日(金)まで開催している。ジョナ・ヒルの初監督作品『mid90s』と、コリンが脚本を務めた伝説的な『KIDS/キッズ』の2本立てだ。公開が待ちきれないという人は、予習がてらスクリーンで観るのもいいだろう。
映画『ザ・ビーチ・バム(原題)』は、キノシネマみなとみらい、立川などで4月公開予定。
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