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ニューヨーク市の自転車シェアサービスであるCiti Bikeを運営しているLyftは、2022年5月5日から全く新しい電動自転車を導入。2022年秋までに全ての利用者に行き渡るよう、徐々に展開を広げていく予定だ。
新しい電動自転車の外観は、黒いバッテリーパックを取り付けるこれまでの「青い自転車」とは全く違う。
まずボディーの色は、視認性が高い白色になり、約60マイル(約96キロメートル)の走行ができるほど長持ちするバッテリーを搭載。液晶画面とスピーカーを内蔵し、利用者はロック解除や駐車の仕方を音声と映像で指示できるという。
モーターも改良され、より滑らかで高速な走行が可能になったほか、油圧式ブレーキを搭載したことにより、より楽に安全な停止ができる。このほか視認性の高い「強力に光る」ビーコンライトや、道路標識と同様に再帰反射する塗装、機器の故障時に自転車を利用できなくするスマートセンサーなどを採用し、車両全体の安全性の向上も試みられている。
Lyftのチームでは、元々の製品でうまくいかなかった部分を確認し、それらの問題点を修正していったそうだ。そのおかげで、やりにくかったサドルの位置調整も改善。新しい自転車では、ハンドルを持ち上げるだけで調整できる。
試乗会に参加した我々は、漕いだ時の十分なパワーに驚いた。新しい電動自転車には、旧型よりも勢いや進む力があり、停止もこれまで以上に簡単。走行中の液晶画面には今のところあまり情報が表示されない。Lyftによると、自転車自体には時間や速度、道順などを表示する機能を備えているので、今後の計画次第では液晶画面内の情報が充実することも期待できそうだ。
この新しい電動自転車は、すでにサンフランシスコとシカゴで展開されている。Lyftによると、シカゴでは最初の1カ月間で、それまでの自転車に比べて1日平均90%近くも走行回数が増えたという。
パンデミックの中で、ニューヨークでも自転車はブームとなった。地下鉄に乗ることが健康へのリスクとみなされていたコロナ禍で、自転車の利用は全般的に33%増加したことが、市運輸局(DOT)が2019年と2020年を比較したデータで示されている。また2022年4月にあった地下鉄内銃撃事件のようなことが起こると、自転車の需要が増えることも容易に想像がつく。NBCニュースによると、事件後の地下鉄の乗車率はすぐに5%低下したそうだ。
2021年におけるCiti Bikeの新規利用者は80万人以上で、乗車回数は1360万回以上、総走行距離は2800万マイル(約4500万キロメートル)にも上った。Lyftの2022年のMultimodal Reportによると、電動自転車の台数は全体の25%に過ぎないにもかかわらず、ニューヨークとニュージャージー間では、その利用が全体の32%を占めたそうだ。
Lyftの交通・自転車・スクーター政策担当副社長であるキャロライン・サンポナロは、次のように述べている。
「データがそろったことで、明らかな結果が出た。Citi Bikeは都市に住む幅広い層の人々を魅了し、特にほかの交通手段が利用できない時に、地域の交通システムにおいて重要な役割を担っているといえるだろう」
Reduced Fare Bike Share会員、Citi Bike会員、 Lyft Pink会員は、ほかのユーザーより数カ月間先行して、新しい電動自転車の利用が可能だ。Lyftでは、まだ会員でない人向けに会員特典の全てが体験できる15日間の無料トライアルを実施している。
何にせよ、自転車のシェアリングサービスはこれから便利なサービスであり続けることは間違いない。Citi Bikeのこの最新の電動自転車の登場で、ニューヨークで自転車に乗ることははもっと簡単になるはずだ。
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