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一期一会の味極める「流しのビリヤニ スタンド」が日本橋にオープン

店舗を持たないビリヤニ店の実店舗で、スパイス香る一皿を

テキスト:
Shintaro Kumihashi
流しのビリヤニ スタンド
Photo: Keisuke Tanigawa
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都内を中心に、飲食店とのコラボレーションや音楽フェスティバルなどのイベントで炊き立てのビリヤニを提供する「流しのビリヤニ」。一期一会のビリヤニを作り続けてきた専門店として、2022年11月14日に実店舗「流しのビリヤニ スタンド」を日本橋・小伝馬町エリアにオープンした。

流しのビリヤニ スタンド
Photo: Keisuke Tanigawa

「流しのビリヤニ」とは?

「流しのビリヤニ」は、奈良岳(なら・がく)によるビリヤニ炊き出し活動の屋号。自身の店舗を持たず、間借り営業でもない「流し」という方法で2017年から活動を続けている。

ビリヤニとの出合いは小学1年生の頃。パキスタン人のパートナーを持つ叔母がふるまってくれた料理の中にビリヤニがあり、自然な形で、何気ない日常の食事として口にしていたという。

流しのビリヤニ スタンド
Photo: Keisuke Tanigawa

そこから時はたち、ビリヤニを作り始めたのは6年ほど前のこと。中学生の頃に叔母が海外へ引っ越したことでビリヤニを食べる機会がなくなったが、会社員として仕事に打ち込む生活の合間にふとその味を思い出し、都内でビリヤニが食べられる店を探して食べ歩きを始める。が、叔母の味を超えるビリヤニに出合えない。

それならばと自身で作るようになり、運営していたシェアハウスの住人や友人に試作をふるまうようになった。それを食べた飲食店を営む友人から「うちでぜひ」と声がかかりポップアップ店として営業し、そこで食べた人からまた声がかかり……。と、縁がつながり「流しのビリヤニ」としての活動がスタートした。

流しのビリヤニ スタンド
Photo: Keisuke Tanigawaビルの2階が「流しのビリヤニ スタンド」。1階にあるおむすびスタンド「アンドン(ANDON)」の脇にある階段を上る

香りを食べて、余韻を楽しむ

会社員のかたわら、およそ月2回のペースで、これまで50カ所以上で活動してきた流しのビリヤニ。毎回違う環境で炊き上げ、確実に腕を磨いてきたものの、風味をより高いレベルで安定させたいという思いはあったという。今春から本業がフリーランスになったという状況も後押しして、今回の実店舗オープンが実現した。

流しの活動もこれまで通り行いながら、店舗では平日のランチと金・土曜日のディナーで、チキンまたはマトンを軸に、週替わりのビリヤニ(ライタ付き1,200円から、税込み)を提供する。

流しのビリヤニ スタンド
Photo: Keisuke Tanigawa

取材日はチキンビリヤニ。スタンダードではあるが、辛さよりもカルダモンやシナモンの爽やかな香りと優しいうま味が口に広がり、しみじみとうまい。

奈良いわく「ビリヤニは香りを食べる料理」。パンチの強さに頼らず、スパイスと素材の風味を引き出したメニューは、ビリヤニという料理の魅力を改めて教えてくれるはず。食べ終わった後の余韻も最高だ。 当面はスタンダードなチキンかマトンだが、フレンチの技法を取り入れたエビのビリヤニや、うま味と独創性があふれるイカスミのビリヤニなど、これまでの流しのビリヤニで提供してきたメニューも展開していくことを想定している。

流しのビリヤニ スタンド
Photo: Keisuke Tanigawa
流しのビリヤニ スタンド
Photo: Keisuke Tanigawa

アルコールとのペアリングも重視

平日のランチはビリヤニ一本勝負だが、土・日曜日のディナーではアルコールも楽しめる。流しの活動を通して出合ったジンや焼酎を取りそろえ、ペアリングをより楽しめるようスパイスはグレードが高いものを使用して、リッチなビリヤニを炊き上げる。

流しのビリヤニ スタンド
Photo: Keisuke Tanigawaフルーツや珍しい食材を使ったアバンギャルドな水キムチ「ソニちゃんのキムチ」もおすすめの一品

ちなみに、同ビル3階では日本ワインの店「ヒノワベース」が同日にオープン。平日の夜は流しのビリヤニ スタンドに代わり、2階でワインバーを開いている。プレオープンを合同で行っていたこともあり、今後はビリヤニとワインのペアリングを楽しめる機会もあるかもしれない。

実店舗の運営と同時に、イベント出店などの活動は今後も続けていくそう。ここに来ればあのビリヤニが食べられる、という確実な場所ができた一方で、一期一会のチャンスがあることは、食べる側にとってはこの上なくうれしい。実店舗と「流し」が相互に影響し合って、独自の路線で進化していくビリヤニ。一食の価値ありだ。

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