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個性的な店が集まる街、高円寺の北中通り商店街では春から冬にかけて毎月第3日曜日の16〜20時に「北中夜市」が開かれる。約120メートルの商店街に、クラフト作家やミュージシャンらによるフリマブースとインターナショナルな飲食屋台、併せて50軒ほどの露店が並ぶ。高円寺らしいナイトマーケットだ。
2011年に起きた原発事故による電力規制の影響で、エアコンが使えない夕涼みに、夕方から開催し始めたのがきっかけだという。コロナ禍では休止していたが、2022年秋から再開。独特の雰囲気があり、ここでしか手に入らないものも多いことから、近年は参加者も徐々に増えているという。
一体どんな雰囲気なのか。筆者は2023年7月16日に開催された夜市に潜入してみた。今回はその様子をレポートする。
商店街を進み「北中夜市」の看板が見えてくると、クリエーターの手による創作グッズや、海外の雑貨が並ぶフリーマーケット店がちらほら目に付き始める。
古着と手作りの作品が気になる「ぬいぐるみ本舗」。レースをふんだんに使ったヘッドレストと、手作りのキュートなカニのぬいぐるみが目に留まる。
「ぬいぐるみ企画室 縫星(ほうせい)」は、出店するたびにテーマを決めてぬいぐるみを作成している。今回のテーマは寿司だ。以前は、中華料理をテーマに作品を制作していたそうだ。
撮影した写真をもとにデザインしたTシャツや、自作のイラストを用いた雑貨を販売している「ヨソモノ オジャマ(yosomono ojama)」の2人。今回は缶バッジが入ったガチャガチャや古着を並べていた。
ビジュアル系バンド洗脳tokyoのメンバーである守護霊は、古着やゲーム機を露店に広げる。後ろに掲げられた「QRコード」からは彼らの曲も聴くことができる。
手相、タロット、九星気学を組み合わせた「スピカ開運堂」。3つの占いを組み合わせて運命を導き出す。軽快なトークで悩みと真摯(しんし)に向き合ってくれるのだ。
このほか、手作りつちのこ人形や台湾のナイロンバッグなどを売るブースもあった。ナイロンバッグは人気で、定番の青、赤、緑色を組み合わせたものはすぐに売り切れてしまったそうだ。
とある販売ブースでは、リクエストに答えて1曲弾いてくれた。
異国を味わう
焼きそばやたこ焼きといった定番メニューから世界各国の味まで、フードも個性派ぞろいである。
「難民・移民フェス」ブースでは世界各国の料理を用意。「フルフル」は西アフリカに位置するマリ共和国のフライドチキンで、スパイシーなトマトソースがたまらない。ローズウォーターで味付けされたイランの菓子「ハルワ」は軟らかく甘いスイーツ。アクセントにナッツがきいた逸品だ。
普段はアクセサリーを出品しているという台湾出身のまる子は、ネギの入った台湾式お好み焼きとでもいうべき葱油餅(ツォンヨゥピン)、茶を入れて煮込んだ茶葉蛋(チャーイエダン)など現地さながらの台湾飯を提供していた。
音楽やアートイベントの開催が魅力的な高円寺のカフェ「サブストア(SUB store Tokyo)」も出店。店主はインドネシア・ジャカルタ出身者で、今回はアルミの器などの雑貨だけでなく、「BINTANG」というブランドのインドネシアビールやミーゴレンなど、異国情緒あふれる飲食メニューをラインアップしていた。
北中夜市は常連店もある一方で、1回限りという店も多い。今回のレポートで掲載した店は、次回開催時には巡り合えない可能性も高いのである。それゆえに、一期一会の個性的な品や人との出会いがより一層輝くのかもしれない。次回は2023年8月20日(日)。月に一度の宝探しに出かけてみよう。
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